February 2019

UNPEELING THE BIG APPLE

N.Y.流スタイルとは何か?

text yoshimi hasegawa photography rose callahan

9年かかって少しずつ作り上げたというニューヨークのグリニッチヴィレッジにある日当たりの良いアパートメント。年間の約半分は旅行に出ているというが、残りの半分はこの部屋で執筆活動を行っている。アートと文学を学び、当初はアートについての評論から始めたというだけあり、至る所に額にいれたイラストやリトグラフが主人の趣味を物語る。ウィスキーや釣り、旅行に関する記事も執筆している。

「しばしば、男は自分の服装を愛しすぎて、細部に気をとらわれる傾向があります。私自身、テーラーリングや服装を語ると夢中になりますし、実際、自分の人生を楽しんでいる男の話はいつ聞いてもいいものではないでしょうか。特に典型的なオールドマン(老人)、それもウェルドレッサーの彼らが、長年かけて完成させた装いには学ぶことが多くあります。彼らには他の者には真似できない良いキャラクターがある。男の装いには特にそれが重要です。とどのつまり、人々は服装を見ているわけじゃない。その男そのもの、全体を見ているわけだから」

 今まで、なぜ服好きになったのか、その経緯を訊ねると父からの影響を語る人物は実に多かった。コギンズ氏も作家にてアーティストである父から多大なる影響を受けているという。

「子供のとき、どうするべきかという規範は誰でも両親から学ぶものです。ティーンエイジャーのときはポロなどカジュアルが好きでしたが、ある日、父にラルフ ローレンへ連れて行かれて、ブレザーを買えと言われました。若いときはブレザーなんて欲しくないものですが、嫌だと言っても『ダメだ!お前にはこれが必要なんだ』と押し切られましたよ(笑)。20代、30代と歳を取るにつれて、テーラーリングに興味を持つようになったんです。だから若いときにはレッスンが必要で、後から両親が正しかったと気がつくことがあるということですね」

 彼の著書のタイトル通り、まず男にはマナーが必要だ。そこから崩すことを学び、年齢を重ねていく。個性あるオリジナルのニューヨークスタイルはそこから生まれる。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 25
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