Wednesday, February 27th, 2019

UNPEELING THE BIG APPLE
N.Y.流スタイルとは何か?

text yoshimi hasegawa photography rose callahan

Robert DahDah
ロバート・ダダ

SaaS およびHCM テクノロジー&ビジネスソフトウェアで20 年以上のキャリアがあり、現在は米国を除く100カ国以上にITサービスを提供する大手企業のエグゼクティブ・バイスプレジデント。マーケティング・マネージメント専攻、ニューヨークのシラキュース大学卒。上海、パリに居住後、ニューヨーク在住。

N.Y. の“クール”を体現する男

ニューヨーカーというイメージにこれほど合致する男がいるだろうか。
ワードローブからインテリアまで、リアルなニューヨークスタイルがここにある。

 ニューヨークのアッパーイーストサイド。ここはニューヨークの歴史を象徴している場所だ。かつてのドイツや東欧系移民の居住エリアであったヨークビルに隣接し、現在では高級住宅街として知られている。
 ロバート・ダダ氏のアパートメントはこのエリアのイースト・リバーに臨む1937年建築のビルディングの一室だ。
 この建物にはアメリカンニュージャーナリズムの旗手、ジョージ・プリンプトンによる『パリ・レビュー』誌の事務所があったというユニークな歴史がある。
 ニューヨークのデコレーター、ジョアンナ・ジョーンズに依頼し、もとは2部屋だったアパートメントを、大規模な改修工事を行い、ひとつのアパートメントにした。こうして1937年のオリジナルの意匠をできるだけ忠実に生かした“ブラック&ホワイト”の空間が完成した。
 T.H.ロブスジョン・ギビングスのダイニングテーブル、カイ・クリスチャンセンのラウンジチェアといった家具から、壁にかけられた1719年の建築を描いたドローイング、1875年作のサン・ルイ製クリスタルのワイングラスといった小物まで、あらゆるディテールにダダ氏のクールな美意識が反映されている。
 果たしてダダ氏にとってニューヨークスタイルとは何か?
「私の定義でいうなら、コンフィデンス(自信)とフリーダム(自由)。これがニューヨークスタイルです。つまり、今の私のワードローブのように自分自身が好きなものを自由に組み合わせ、自信を持って着こなす、といったことでしょう。私自身はこのスーツが好きだと思うことはあっても、このスタイルが好きだ、こうなりたいと思ったことはないですね」
 氏が明言するように、彼の着こなしには、既に自分の中に確立された厳然としたルールがある。
 そのスタンスはインテリアやアートと同様、自分が好きかどうかという自らの美意識の基準ですべてが精査され、選び抜かれているようだ。
 シルクのタイにシルクのポケットチーフはしない。ポケットチーフは常にホワイトのアイリッシュリネンのみ。シャツはパリに住む前から10年以上シャルベを愛用。通常はシャツに合わせ、シャルベやエルメスのタイを合わせるが、ドレイクスも外しで合わせることもある。

スタイルを象徴するのは、自信と自由 リビングルームもさることながら、圧巻なのは、あたかもプライベートに誂えられたハバーダッシャリーのような、かつてのゲストルームを改造したウォーク・イン・クローゼットである。
「毎日、身支度をするとき、気に入りの店にショッピングに行くような気分になる」というのも無理はない。
 ワードローブはネイビーとグレイのベーシックなカラーのスーツが大半を占めていて、実にストイックだ。これとは逆に靴はアメリカやイタリアのテイストを窺わせるエレガントなブラウンが多い。
 この日着用してくれたのは例外的なリヴェラーノ&リヴェラーノのスーツ。ダダ氏がプライベートで遊びに行くときの装いだという。アントニオ・リヴェラーノ氏が選んでくれたヴィンテージのソラーロを使用している。ダダ氏はアーモリーも上海に居住していた頃からの顧客であり、マーク・チョー氏のセレクションにも全幅の信頼を置いている。
「私にとってニューヨークのスタイルといえばスーツですね。仕事にせよ、遊びにせよ、仕立てのいいスーツはとても快適で私にとって心地いいのです。ワードローブの大半はネイビー、グレイですが、私の仕事は大企業を相手にした交渉事や会議が多いので、スーパークレイジーなピンクのシャツに、派手なストライプのダブルブレステッドスーツを着るのは論外です(笑)。私がスーツを着るのは、私自身がクオリティを重視しているからでしょう。実際、私が働いている業界の人間はビスポークの価値や、ましてやリヴェラーノのスーツが何かなど知りません。良いスーツを着るのはすべて自分自身のため。私はそのものの価値、それが何であるのかを知っているからです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 25
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