Sunday, January 17th, 2021

The Rock’n Roll Tailor

70年代を駆け抜けた伝説のテーラー
トミー・ナッターの魂

チトルバラ&モーガンの服は、ここが違う―<作り>編
text yoshimi hasegawa
photography edward lakeman

サヴィル・ロウで磨き抜かれた技術ブリティッシュの真髄といえる構築的なショルダーラインにピークドラペル、ジャケット・スリーブはターンバック・カフ仕様にしたダークグレイ、ヘリンボーン・ストライプのジャケット。これは最終フィッティングに近いもの。モーガン氏の完璧主義を反映し、「フィッティングは最低3回、多ければ多いほど完璧なものができる」。またラインを美しく表現するため、ロロ・ピアーナなどイタリア製の単糸双糸の服地を好んで用いている。

スタイルと美学の継承 時にモデルも務めるアシスタント・カッターのマイケル・ブラウン氏。現在30歳の彼は、なぜあえてチトルバラ&モーガンを選んだのか。

「大学でコンピューター・サイエンスを学んだが、同時にファッションにも興味があって、ポール・スミスで働いたこともある。理想としたのは身体にフィットしていて、仕立てが良く、長く着られる服。最上の服を求めた結果、サヴィル・ロウ、そしてここに辿り着いた。自分にとっては作りだけではなく、スタイリッシュであることも大事なんだ。人々はスタイルを求めてブランドの高価な既製服を買うが、残念なことだ。ここには最上の仕立てとスタイル、両方がある」

 ブラウン氏はナッターから受け継いだ哲学はもちろんのこと、日々、モーガン氏から顧客への接し方など多くのものを学んでいるという。ビスポークでは顧客ひとりひとり、全員異なる。彼らとどう信頼関係を築くかによって、スーツの仕上がりも変わってくる。それは経験によって培われる。

 昨年、サヴィル・ロウに待望のストアをオープンした同じビスポークの靴ブランド、ガジアーノ&ガーリング。当時、サヴィル・ロウでスペースを探していた彼らに場所を提供するなど、モーガン氏の温厚な人柄は、サヴィル・ロウでも特に定評がある。

「何より、ジョーは品質に対して、一切妥協しない。常に自分たちが提供できる最上のものを作ろうとしている。働くのにこれ以上の環境はないだろう?」

 トミー・ナッターからジョー・モーガン、そしてマイケル・ブラウンへと、世代を超えて、その哲学は継承されている。

本記事は2015年3月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 03

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