Sunday, January 17th, 2021

The Rock’n Roll Tailor

70年代を駆け抜けた伝説のテーラー
トミー・ナッターの魂

text yoshimi hasegawa
photography edward lakeman

 スウィンギング・シックスティーズで沸き返ったロンドンのストリート・カルチャーを、旧態依然としたサヴィル・ロウに持ち込んだ、まさに革命だった。

 この仕掛人こそ「ナッターズ」の出資者、「アップル・コープ」のマネージングディレクター、ピーター・ブラウンと関係者達だ。サヴィル・ロウ3番地の「アップル」の向かいにあった「ナッターズ」は、音楽業界の人間が出入りする華やかな社交場と化した。

 ナッターのカリスマ的なデザイン力、加えて、カッターのセクストンの卓越した技術は、グラマラスな70年代に、サヴィル・ロウ発の新たなメンズファッションの潮流を創りあげた。

 しかし、二人の蜜月は長くは続かなかった。1977年、ナッターは店を去り、キルガーへ移る。1988年には再びサヴィル・ロウで自身の店をオープンするが、わずかその4年後の1992年、惜しくもHIVにより49歳の若さで死去した。

 1980年代後半、ナッターの下で働いたジョン・ガリアーノやティモシー・エヴェレストなどのデザイナーを生み出し、後のメンズファッションに与えた影響は計り知れない。

本記事は2015年3月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03

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