The Rock’n Roll Tailor
70年代を駆け抜けた伝説のテーラー
トミー・ナッターの魂
January 2021
photography edward lakeman
ディテールに香るエレガンスワイドラペル、構築的でシャープなロープド・ショルダー、高めのアームホール、長めの着丈と袖丈、チケットポケットを含む、平行に並んだ二つのフラットポケット、これらのディテールはナッターのセンスを受け継ぎ、モーガン氏のエレガンスで現代流に解釈したもの。ナッターズのスーツに共通する色気と華やかさは今も変わらない。格子柄は特に柄合わせが難しいが、袖と身頃、さらに前身頃のポケット部分にも、パターンの分断が全くない。見事な柄合わせのテクニックに、サヴィル・ロウの最上級ビスポークならではの技術が光る。
ナッターから受け継いだもの モーガン氏がナッターから受け継いだのはカッティング・ラインの美しさばかりではない。
「トミーは華やかな色彩感覚や大胆な遊び心を、保守的なサヴィル・ロウのテーラーリングに持ち込んだんだ」
そんなナッターの持ち味がよく出ているのが「コンビネーション・スーツ」だ。
これはジャケットはプレーン、ウエストコートはグレンチェック、トラウザーズはストライプなど、パターンのそれぞれ異なる服地を使い、スーツに仕立てたもの。当時の価格は台帳によれば180ポンド、現在のチトルバラ&モーガンの価格は6000ポンドだが、未だに他とは違うスーツを求める顧客に根強い人気があるという。さらに、ジャケットのラペルを身頃とは違う柄で縁取りしたり、ベルベットやデニムを使用したスーツなど、素材使いでもユニークな才能を発揮した。
本記事は2015年3月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
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