THE RAKE PERSONIFIED
小説家ジェイ・マキナニーのスタイル
January 2020
ハンツマンのビスポークジャケットに、ブルネロ クチネリのデニムを合わせたカジュアルスタイル。シャツはチェザレ・アットリーニ。シューズはボントーニ。
W:あなたが持つファッションへの情熱的な愛好心のルーツは何でしょうか?
J:父だと思います。特に裕福ではありませんでしたが、きちんとした服装をするのが好きな人でした。大好きだったのはオックスフォードクローズのスーツ。カラフルなブレザーもたくさん持っていて、夏は白い靴を喜んで履くようなタイプでした。私の服好きはそんな父の影響で、ずっとファッションに興味がありました。毎日スーツを着てもいいと思うくらいに。ですから今も外出する際はいつも必ずスーツを着ます。それにしても現代のビジネスマンは装い方をまったくわかっていませんね。
W:なぜですか?
J:楽しみよりも義務感から服を着ているからだと思います。アメリカはドレスアップの根絶を推し進めています。カジュアル・フライデーを定着させたのは、明らかに悪いことだったと思います。いつからスウェットパンツがジムの外でも許容されるようになったのでしょう? ニューヨークの服装は米国内の他の都市と比べればましなほうですが、男性が今でもドレスアップに誇りを持っているヨーロッパ各地とはまるで違いますね。
W:チフォネリの話に戻りますが、ロレンツォ氏が仕立てた服を着ると、どんな気分になりますか?
J:ロレンツォは男性を魅力的に見せる方法を心得ているんです。面白いことに、貴誌のパーティーにお邪魔したとき、私がチフォネリを着ていることにすぐ気づいた方が大勢いらっしゃいました。ですがテーラーの能力に対する最高の褒め言葉は、女性からの「わっ! きまってますね」、たったその一言かもしれませんね。
W:私がチフォネリに興味を持ったきっかけは、ホテル プラザ アテネのエレベーターで見かけた男性が実に格好いいと思ったときのことです。どちらのテーラーのものですかと尋ねると、「若者よ、チフォネリへ行け!」とおっしゃるのです。
J:(笑)素晴らしいですからね。彼が現在抱えている唯一の課題は、膨大となった世界的需要。私は彼にふたり紹介したのですが、両者とも私よりもはるかに大口の顧客になりました。ですが時には、私が先に顧客だったということを彼にちょっと思い出してもらう必要があります(笑)。彼は今、少々働き過ぎですが、それが彼の技と能力の証しなのでしょう。
本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 29
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