March 2020

THE PROUD FATHER

RAKISH MANは、
クラシック・カーを愛する

スーパーモデル、デヴィッド・ガンディは、自身が“ジャグ(ジャガー)・ファミリー”と呼ぶ家族の中で育った。
そんな彼の愛車は、XK120ライトウェイト ロードスターだ。コートダジュールでのテストドライブに同行した。
text adam hay-nicholls
issue10

David Gandy / デヴィッド・ガンディ1980年、イングランド出身のモデル。英国のモデルコンテストで優勝した後、ドルチェ&ガッバーナのキャンペーンに起用され、大ブレイクした。THE RAKEインターナショナル版をはじめ、数多くの雑誌の表紙や、ブランド広告に登場している。メンズのモデルとしては最も成功したひとりとされ、別格のスーパーモデルとして君臨している。

 メンズ・ファッション界における唯一無二のスーパーモデル、デヴィッド・ガンディをうらやむ理由は山ほどあると思う。だが何よりうらやましいのは、彼のジャガーXK120ロードスターである。

 われわれのいるサントロペのホテルのプールサイドでは、1950年代を象徴するスポーツカー、XK120がシートに覆われている。照明を浴びてシルエットを描くその姿は、まるでハリウッドの同年代の大女優が、ラブシーンの合間にひと休みしているかのようだ。

 彼が覆いを取ると、すらりとしたブラックの車体と、格子模様のシートを備えた黄褐色のレザーインテリアが現れる。あまりに官能的なクルマに、見る者は言葉を失う。

 ガンディはこの11カ月間、ジャガー・ランドローバー・クラシック・ワークスと協力し、夢のクルマを造り上げてきた。彼はこの過程を、サヴィル・ロウのビスポークスーツ作りになぞらえる。

 彼らは1954年式XK120のシャシーをカリフォルニアから調達し、力を合わせて徹底的に組み直した。2,700時間をかけて、元の状態へレストアし、いくつかの改善もした。

 コベントリーのワークショップは「僕の幸せな場所だ」と彼はいう。ガンディのガレージを言い表すのに最適な形容語は“ハンサム”である。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

RAKISH MANは、トレンドから距離をおいた 自分のスタイルをもっている

RAKISH MANは、 すべてに自分の決まった職人がいる

RAKISH MANは、 職人の仕事を美しい色彩で楽しむ

RAKISH MANは、玄人好みの生地を知っている

RAKISH MANは、 シガーを嗜む隠れ家を持っている

RAKISH MANは、 自宅にアートピースを飾っている

RAKISH MANは、 使い込むほどに味の出る鞄を知っている

RAKISH MANは、 ヴィンテージのリングを持っている