March 2020

THE PROUD FATHER

RAKISH MANは、
クラシック・カーを愛する

text adam hay-nicholls

 独特な編み込みのシートはガンディのアイデアで、バレンシアガのデザインから着想を得たという。ハンドルもオーナーの長い脚とたくましい体が収まるよう、小さめになっている。

 ガンディはワークショップで車両の個々のパーツをすべて見ていたものの、今回のサントロペでのお披露目で、それらが一体化した姿を初めて目にした。

「あの夜の僕は、口数が少なかったですね。驚き、圧倒されていたものですから。自分のものだとは信じられませんでした」

 われわれは試運転のためにリヴィエラへ向かった。ヴェルドン渓谷とナポレオン街道のワインディングを走るのである。サーキットやM40高速道路でテストすることもできたが、デヴィッドが言う通り、「ちょっとした癖を知るため」には、スリリングかつカリスマ的な道で試走するほうが望ましかった。

 フランス版グランドキャニオンに沿って走るD23は、アルプ・ド・オート・プロヴァンスとヴァールの県境にある細いバルコニー状の道路で、崖を切り開いて造られている。横には澄み切ったグリーンのヴェルドン川が流れており、崖下までの高さは700メートルだ。

「クラシック・カーに乗るときは、脳の再調整が必要です。現代のクルマはコンピューターを搭載していて、ドライバーのためにすべて計算してくれます。テレビゲームのような感じですね。ですがこのクルマの場合、ブリッピングを行い、ダブルクラッチを踏みながら、正しい順序でギアチェンジすることが必要です。連続するコーナーでそれを正確に行うというのは、ゴルフでうまくスイングを決めるようなもの。ちゃんとできたかどうかは、音でわかります」とガンディは語る。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31
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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

RAKISH MANは、 ヴィンテージのリングを持っている

RAKISH MANは、 使い込むほどに味の出る鞄を知っている

RAKISH MANは、 自宅にアートピースを飾っている

RAKISH MANは、 シガーを嗜む隠れ家を持っている

RAKISH MANは、玄人好みの生地を知っている

RAKISH MANは、 職人の仕事を美しい色彩で楽しむ

RAKISH MANは、 すべてに自分の決まった職人がいる

RAKISH MANは、トレンドから距離をおいた 自分のスタイルをもっている