January 2020

THE PROPHET of SOLOMEO

“ブルネロ·クチネリ”
ソロメオ村の哲学者

text wei koh photography kristina tochilko

——— 現ローマ教皇から協力を求められたというのは本当ですか?

「ある金曜日の朝に教会から電話があり、職場における尊厳に関する文章の執筆を依頼されました。そこで私は小論を書きました。その翌日、2020年3月に現ローマ教皇がアッシジに行くことが発表されました。教皇は若い世代と出会い、仕事における尊厳をテーマとした会議を開きたいということでした。これは大きなテーマです。それに少しでも協力できたことを、非常に嬉しく思っています」

——— あなたにとってスタイルとは?

「服を着ているとき、いい気分であることが重要だ、と申し上げておきましょう。私は農家に生まれました。家族には、何も無駄にしてはならないという信念があり、服もその対象でした。お下がりを着たり、サイズ直しをしたものです。仏教僧の一行がソロメオ村へ来たことがあります。僧侶たちが食事前に唱えたお祈りは、“ 私たち以外の人類にとって十分な量が残るよう、控えめにいただきましょう”でした」

——— あなたにとって品質の意味とは?

「私の故郷には“長く隠しておけないものが3つある。太陽、月、そして真実だ”ということわざがあります。消耗品として作られた服は、すぐにその真実をさらけ出します。私は何を買うときでも、例えばそれが時計であっても、孫やその子供たちまで使ってほしいと考えます。100年以上持てばいいなと」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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