SEWING THE SEEDS OF TIME

俳優:パトリック・スチュワート
円熟の境地

October 2019

issue10

ジュリア・ロバーツと共演した『陰謀のセオリー』(1997年)。

「昨年は映画、コメディドラマ、舞台でバラエティ豊かな役に恵まれて最高の1年だったよ。多彩な役は刺激的で新鮮だし、76歳になっても現役で仕事を楽しめるなんて本当にありがたい」

信頼できるブロマンスな関係 舞台『No Man’s Land』がすばらしい成果を挙げたのは、ピンターの創意に富んだセリフやロンドンらしい華やかな舞台はもとより、主演ふたりの強い絆によるところが大きい。イアン・マッケランとパトリック・スチュワートは2000年の映画『X-Men』での共演を通じて友情を深めた。彼らの経歴や年齢、キャリアの共通点を考えれば、もっと早く仲良くならなかったのが不思議だ。

「この舞台の最初の25分間は、ふたりだけのやり取りが続く。だから大事なのはお互いの信頼。深い敬意があれば、なんでもできる雰囲気が生まれるんだ。自由になれるし、実験できるし、その作品の新たな側面も引き出せる。あらかじめ打ち合わせする必要なんてないからね。ともに過ごし、ともに演じてきたから、観客が絶対に気づかないようなものを舞台の上で共有することができるんだ」

 2013年にスチュワートが3番目の妻(38歳年下のジャズシンガー、サニー・オゼル)と結婚する数日前、トーク番組で今後の予定を聞かれたイアン・マッケランは「パトリック・スチュワートと結婚する予定だよ」といたずらっぽく返した後、実際は結婚式の司式をすると明かした。スチュワートはこう語っている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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