PRINCE AMONG MEN
20世紀を代表するプリンス
October 2017
アルフォンソとグニラ・フォン・ビスマルク
14歳の少女を妻に アルフォンソは1954年夏の出張中に、飛行機墜落事故に巻き込まれた。だが幸運にも、彼は生き残った。のちに『LIFE』誌に語ったところによれば、燃えさかる炎の中で、数週間前に出会ったばかりの14歳の少女の幻を見たという。それがヴェネツィアにいるプリンセス・イーラ・フォン・フュルシュテンベルクだった。すぐさま彼は彼女に電報を打った。
「結婚してくれる?」 これに対するイーラの答えは「イエス」だった。
過ぎ去りし時代に後世のモラルをあてはめるのは難しいが、それでも年の差は相当なものだった。しかしアルフォンソは、映画スターのようなルックスと、ヨーロッパ王家の中でも、とりわけ古い歴史を持つ血筋に恵まれていた。
一方、ティーンエイジャーのイーラもさまざまな点で彼にふさわしかった。プリンセスで女相続人でもあったし、アルフォンソと同じく自動車業界にも縁があった。彼女の叔父はプレイボーイとして鳴らしたTHE RAKEことフィアット総帥のジャンニ・アニェッリだったのだ。
ロンドンの『デーリー・テレグラフ』紙が“戦後最大ともいえる中央ヨーロッパ貴族の集まり”と評したプリンス・アルフォンソとイーラの結婚式は、花嫁の一族が宮殿を持つヴェネツィアで1955年に挙げられ、ヨーロッパ社交界の語り草になった。花嫁の年齢はスキャンダラスだったが、イタリアの女性は14歳になると親の同意があれば結婚できたのだ。