July 2015

LA BELLE ET LABÊTE

セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの物語
フランス一純粋で、淫靡だった2人

by joycelyn shu

サントロペで家族とともに休暇を過ごすゲンズブールとバーキン。

美女を虜にした醜男 横に張り出した耳や、それにも増して堂々とした、大きな鼻の持ち主であったゲンズブールは、自分の容姿について幻想を抱いてはいなかった。そして「俺は美しさより醜さを好むね。醜さは永遠だから」などと、皮肉っぽいジョークを飛ばすのが好きだった。

 しかしそれでも、彼ほどモテたフランス男もいないといえた。

 ざっと思い浮かべるだけでも、お相手は、ジェーン・バーキン、ブリジット・バルドー、カロリーヌ・フォン・パウルス(別名バンブー)、カトリーヌ・ドヌーヴなどなど。まさしく神の最高傑作とでも言うべき美女揃いなのだから。

 ゲンズブールは、決してハンサムではなかったが、絶世の美女たちを虜にし、世界一型破りなセックスシンボルとしての地位を確立したのだ。

 彼の歌もまた、ジュリエット・グレコ、フランス・ギャル、フランソワーズ・アルディ、イザベル・アジャーニ、ヴァネッサ・パラディといった美人歌手らによってカバーされた。

 ゲンズブールは魅力的な女性に囲まれることを非常に喜んだと、バーキンは語っている。彼は自分の外見をよくわかっており、こうした女性に注目されることで認められようとしたのだという。

 しかしバーキンは、その行動とは正反対に、彼が一貫して非常に慎み深い人物であったとも述べている。入浴したり、トイレに行ったり、全裸でいる姿を、バーキンにも子供たちにも決して見せなかったからだ。サービス精神にあふれ、たびたび論争を巻き起こし、世間の耳目を集めたゲンズブールは、実は非常にプライバシーを大切にする、控えめな人だったのだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 02
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