Monday, July 6th, 2015

LA BELLE ET LABÊTE

セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの物語
フランス一純粋で、淫靡だった2人
セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンは、同世代の人々にとって黄金のカップルだった。
2 人の大恋愛は、今なお私たちの心を揺さぶり、魅了し続けている。
by joycelyn shu

美女を虜にした醜男 横に張り出した耳や、それにも増して堂々とした、大きな鼻の持ち主であったゲンズブールは、自分の容姿について幻想を抱いてはいなかった。そして「俺は美しさより醜さを好むね。醜さは永遠だから」などと、皮肉っぽいジョークを飛ばすのが好きだった。
 しかしそれでも、彼ほどモテたフランス男もいないといえた。
 ざっと思い浮かべるだけでも、お相手は、ジェーン・バーキン、ブリジット・バルドー、カロリーヌ・フォン・パウルス(別名バンブー)、カトリーヌ・ドヌーヴなどなど。まさしく神の最高傑作とでも言うべき美女揃いなのだから。
 ゲンズブールは、決してハンサムではなかったが、絶世の美女たちを虜にし、世界一型破りなセックスシンボルとしての地位を確立したのだ。
 彼の歌もまた、ジュリエット・グレコ、フランス・ギャル、フランソワーズ・アルディ、イザベル・アジャーニ、ヴァネッサ・パラディといった美人歌手らによってカバーされた。
 ゲンズブールは魅力的な女性に囲まれることを非常に喜んだと、バーキンは語っている。彼は自分の外見をよくわかっており、こうした女性に注目されることで認められようとしたのだという。
 しかしバーキンは、その行動とは正反対に、彼が一貫して非常に慎み深い人物であったとも述べている。入浴したり、トイレに行ったり、全裸でいる姿を、バーキンにも子供たちにも決して見せなかったからだ。サービス精神にあふれ、たびたび論争を巻き起こし、世間の耳目を集めたゲンズブールは、実は非常にプライバシーを大切にする、控えめな人だったのだ。




愛の終わりと死
交際開始から10年が過ぎても、バーキンはゲンズブールを深く愛していたが、彼との暮らしはアルコールによるトラブルの連続で、ついには彼女の手に負えなくなった。
 バーキンはゲンズブールと別れて、映画監督のジャック・ドワイヨンと交際を始めた。バーキンに去られたゲンズブールは、ひどくショックを受けたが、彼女との打ち解けた関係は変わらなかった。ついにはバーキンの新しいパートナーとさえ親しくなるほどだった。
 ドワイヨンとバーキンの娘、ルー・ドワイヨンが誕生したときも、ゲンズブールはアメリカの病院に巨大な包みを送った。中には彼がルーのために買ったたくさんの服とともに、“Papa Deux(2番目の父)”と書かれたカードが入っていた。
 ゲンズブールが家族と暮らしたヴェルヌイユ通りの家は、こうして彼1人の家になった。1991年3月2日に、62歳で息を引き取った場所も、やはり自宅であった。彼の遺体は、人生最後の10年をともに過ごしたバンブーによって発見された。 
 彼の死を知ったバーキンは大きな衝撃を受けたが、彼女の悲しみは、2日後に父親まで亡くすことにより、いっそう深まることになる。ゲンズブールと最も近い関係にあった4人の女性̶̶̶バーキン、バンブー、シャルロット・ゲンズブール、ケイト・バリーは、彼との別れを惜しみ、寝室に横たわる亡骸を4日間にわたって徹夜で見守り続けた。
 ついに彼を葬るべきときが来ると、バーキンはモンパルナス墓地の一角を埋葬場所に選んだ。この墓地には、シャルル・ボードレール、ジャン・ポール・サルトル、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、マン・レイ、コンスタンティン・ブランクーシといった、多くの芸術家や知識人が埋葬されている。
 生涯最愛の人を亡くしたバーキンは、何か大切なものを棺に納めなくてはならないと感じ、子供の頃から一番大切にしてきたフェルト製のサルのぬいぐるみ、“マンキー”を棺に入れたという。

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ゲンズブールが愛した一足

Repetto[Zizi]
レペット[ジジ]

レペット独自の“スティッチ&リターン”製法で作られたゴートスキン製の1足。靴を裏表にした状態で縫った後にひっくり返すという手法により、しなやかさと快適さを最大限に引き出した。「ジジ」という名は、創始者であるローズ・レペットが、ダンサーであった義理の娘 ジジ・ジャンメールのためにこの靴をデザインしたことに由来する。¥38,000 Repetto

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パリの自宅でのんびり過ごす2人(1969年)。

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サントロペで家族とともに休暇を過ごすゲンズブールとバーキン。

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洗練された2人は、衣装面でも感情面でも、互いを完璧に引き立てていた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 02
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