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富と審美眼を持つ男の象徴「ロレックス デイデイト」

May 2019

text wei koh

マーティン・スコセッシ監督の映画『グッドフェローズ』(1990年)で、デイデイトを着用しているレイ・リオッタ(中央)。

 同年、5055を発売したことも特筆に値する。32kHzの自社製クオーツムーブメントを搭載するデイデイトで、機械式と同じく貴金属製のみが製造され、2001年の生産終了まで販売された。私もバールウッドダイヤルを採用したイエローゴールド製を所有しているが、5055は非常に特別な時計であると断言できる。ブレスレットと一体化したケースの独特な形状や、温度補正機構まで搭載した類い稀なムーブメントがその理由だ。

1980年代:ref.182XX、183XX 1988年、ロレックスはデイデイトのための新キャリバー 3155を発表し、ダブル・クイックセット機能を初めて搭載した。この機能により、時針や分針を回すことなく、リュウズを使って曜日と日付の両方をさらに素早く設定できるようになった。リファレンスナンバーは182XXと183XXとなった(後者はケースにダイヤモンドを配したモデル)。

2000年代:ref.118XXX 2000年にはリファレンスナンバーが6桁(118XXX)にまで増え、主にブレスレットとクラスプに関して改良された。ロレックス デイデイト 36(ケース径36ミリ)は、現在でも時計製造技術において驚くべき時計だ。私が特に気に入っているのは、ダイヤルの色使いが心を揺さぶるもの。例えば、グリーンダイヤル×イエローゴールド製モデル、コニャックダイヤル×イエローゴールド製モデル、魅惑的なチェリーダイヤル×ホワイトゴールド製モデル、チョコレートダイヤル×エバーローズゴールド製モデルだ。

 これらの時計の美しい外観は、ある1970年代のデイデイトを彷彿とさせる。それは中東市場向けに製作されたデイデイトで、ターコイズブルー、ホットピンク、カナリーイエロー、ネオングリーンのダイヤルが特徴だった。この色彩を魅力的だと評価する人もいれば、眩しすぎると感じる人もいた。“ステラ”ダイヤルと呼ばれたこれらのニックネームは、鮮やかな原色使いで有名な画家フランク・ステラからきているという説や、ラッカー塗りの多層エナメルを使って製作されたダイヤルが輝きを放つため、ラテン語の“Stella(星)”に由来するという説がある。

*エバーローズゴールド = 経年による退色を防いだロレックス独自のローズゴールド。

本記事は2019年1月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 26

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