April 2018

Gottcha

最後のドン、ジョン・ゴッティ

text james medd

後にゴッティに殺害されるマフィアのボス、ポール・カステラーノ。自首後にFBI 捜査官に護送されている(1984 年)

やられたら、やり返す だが彼はもともと、やられたらやり返すという、残忍なやり方を好むボスだった。典型的な武闘派マフィアといえる。イタリア移民の子として13人兄弟の5番目に生まれ、サウス・ブロンクスとイースト・ニューヨークの貧しい地区から這い上がってきた男だ。4人の男兄弟は、みなマフィアに加わっていたから、犯罪以外の選択肢はなかった。

 12歳のとき、ニューヨーク5大ファミリーのひとつであるガンビーノ一家の使い走りとして、裏の世界に足を踏み入れる。使い走りを卒業して、アイドルワイルド空港でトラックを強奪し、獄中の中休みを何度かはさみながら、裏の世界で順調に出世していった。

 だが、ボスのカルロ・ガンビーノが死ぬとピンチが訪れた。新しいボスのポール・カステラーノはゴッティの麻薬取引やギャンブル癖(一晩で3万ドルもすったことがあるらしい)を快く思っていなかったのである。ゴッティはカステラーノと対立した。そして1985年のクリスマス前、カステラーノはマンハッタンにあるスパークス・ステーキ・ハウスの外で襲撃されて死ぬ。それから1カ月もしないうちに、45歳のゴッティが、当時最強のマフィア・ファミリーのドンとなり、年間5億ドルの金と2千人のメンバーを動かすようになった。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
1 2 3 4 5 6

Contents