April 2024

GOTTCHA

最後のドン、ジョン・ゴッティ

ジョン・ゴッティの葬儀(2002年)。

マフィアの時代の終わり しまいには、自らの腹心に裏切られた。この部下に殺人を指示しているところを盗聴されたのである。法廷では好人物を装い、仕立ての良いスーツ姿でキザな笑みを浮かべていた彼は、1992年4月2日に5件の殺人、違法賭博、恐喝などで有罪になった。獄中でもファミリーのドンという肩書きは持っていたが、経験の浅い息子のジョンを臨時のボスに指名した。しかし、これは大失敗だった。ゴッティ・ジュニアは1999年に6年の実刑判決を受け、稼業から足抜けした。

 その頃には、ガンビーノ一家の約半数が逮捕されていた。暴力に頼り、目先の利益を追求した結果、彼がボスであった間に一家の稼ぎは激減した。その影響は、ガンビーノ一家のみならず、マフィア社会全体に及んだ。ライバルであるルッケーゼ一家のドン、アンソニー“ガスパイプ”カッソはこう語っている。「ジョン・ゴッティのしたことは、コーサ・ノストラの終焉の始まりだった」と。

 2002年に服役中のゴッティが癌で死ぬと、アメリカン・ギャングも衰退し、ニューヨークのスラム街でマフィアが幅をきかせる時代も終わりを告げた。今に繋がる“新人類”の時代が到来したのである。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
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