Tuesday, June 30th, 2020

FIRE in his BELLY

怒りのビリー・ジョエル

text james medd

 ビリーのルーツの近く、ロング・アイランド郊外の大邸宅は、今も増築され続けている。音楽以外に向けられる彼の情熱はワーキング・クラス的だが、そのスケールは億万長者そのものだ。

 モーターバイクを愛する彼は100台のバイクを収容するガレージを持ち、メカニックにそれらのカスタマイズを依頼している。また彼はボートにも夢中になっている。57フィートのパワーボートを含め、彼自身がボートを設計および製造している。

 ビリー・ジョエルは過去50年にわたって音楽で莫大なお金を稼ぎ、ポップミュージック史上最も稼いだうちのひとりとなった。1993年の『リヴァー・オブ・ドリームス』発表後はポップミュージックから離れ、クラシック音楽に方向転換したが、スタジアムでのコンサートは続けた。自宅から近いマディソン・スクエア・ガーデンへヘリコプターで向かい、多数のオーディエンスを熱狂させている。

 彼はいつも、大切なのは曲で、自分が着ている服ではないと言っていた。自身の“レガシー”に対する見解はよく知られている。例えば彼は『素顔のままで』をプレイするのが好きではない。それについて言及されると、“もう離婚したんだ”と言って話を打ち切ってしまう。

 エレガントなグローブの内には、まだ不良少年の拳があるのだ。しかし、50代以上の人にとって昔の曲は、好き嫌いを超えて美しい記憶として残っているものだ。おそらくビリー・ジョエルの魅力の秘密は、素顔の自分に忠実で、自分を過信しなかったことにあるのだろう。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 34
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