July 2018

DIAMOND GAL

世界を魅了した“永遠の妖精”
オードリー・ヘプバーン

text david smiedt

ユニセフ親善大使としてエチオピアを訪問(1988年)。
photo by Getty Images

 1954年からユニセフの活動を始めた彼女は、セレブリティに良心をもたらした。それまで彼女のような名女優で慈善活動に身を捧げた者はほとんどいなかった。頭にスカーフを巻いて人道支援に励むアンジェリーナ・ジョリーを目にするたびに、オードリー・ヘプバーンこそその先駆者だったのだと感じる。

 つまるところ、彼女は男性に求められるよりも、女性や子供を元気づけたいと考えたのだ。ブエノスアイレスからベルリンまで、世界のどんな街でも、ブラックのタートルネックと同色のスリムパンツ、バレエシューズというクラシカルなコーディネイトの女性をいまだに見かける。これもまたオードリー・ヘプバーンのスタイルそのものだった。

 2006年には『ティファニーで朝食を』で彼女が着用したジバンシィのブラックドレスのうちの1着がオークションにかけられ、約50万ポンドで落札された。グーグル社は彼女の誕生日を自社のホームページで祝い、アメリカ合衆国郵便公社は2003年に彼女の記念切手を発売。オードリー・ヘプバーンはいまだに“最もセクシーな”“最も美しい”“史上最高の”と形容されるランキングの常連である。

 彼女はおてんば娘のような巻き毛、バレリーナのような骨格、バンビのような瞳の奥に反骨精神を秘めていた。他の新進女優と同じように見られるのは嫌だったから、若いパリのクチュリエ、ユベール・ド・ジバンシィの服を愛用した。そのおかげで、この新人デザイナーはハリウッドで一躍人気を博すようになる。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
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