July 2018

DIAMOND GAL

世界を魅了した“永遠の妖精”
オードリー・ヘプバーン

text david smiedt

『ローマの休日』(1953年)で初めて映画の主役に抜擢されたオードリー・ヘプバーンは一躍脚光を浴び、アカデミー主演女優賞の他、英国アカデミー最優秀主演女優賞、ゴールデングローブ主演女優賞を受賞し、大成功を収めた。
photo by Getty Images

 ヘプバーンの代表作は、なんといっても1961年の映画『ティファニーで朝食を』である。当初はトルーマン・カポーティの原作に出てくる娼婦を彼女が演じるには清潔感がありすぎるのではないかと思われていたが、これが当たり役となる。

 アメリカの4大アワードをもれなく受賞した名誉ある俳優「EGOT」(=エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞)は歴史上12人しかいないが、ヘビースモーカーのホリー・ゴライトリー役を演じたオードリー・ヘプバーンもそのひとりである。キトンヒールを履いたコケティッシュなそのキャラクターは、ヒッチコック作品風の『シャレード』(1963年)、ミュージカルの『マイ・フェア・レディ』(1964年)、サスペンス映画『暗くなるまで待って』(1967年)にも受け継がれた。

永遠に憧れる女性像 妖精に例えられるオードリー・ヘプバーンの可憐なイメージを真似する人は多い。彼女の個性から滲み出る人間性や謙虚さは、あらゆる女性の共感を呼んだ。昔も今も、ポップカルチャーに計り知れない影響を与えているのだ。

 名曲「ムーン・リバー」をバックに、ブラックのカクテルドレスをまとい、宝石店の煌めくウインドウの前で厳しい現実から逃避する姿は、あらゆる女性の記憶に残っている。だが、彼女を単なるファッションアイコンとみなすのは失礼だ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
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