COSTUME DRAMA

謎の大富豪が主催した仮面舞踏会

November 2016

text nick foulkes

ブランドリーニ伯爵、ジーン・ラリー、ドナ・アイリーン・メディチ、アレッサンドロ・ペローネ、ブランドリーニ伯爵夫人

絢爛たるパーティの幕開け 魅惑的な街が薄闇に包まれると、パーティがスタートした。ラビア宮殿は大運河をずっと上っていったところにあったので、ヴェネチア市民は豪華に着飾ったゲストたちや、贅沢に装飾が施されたゴンドラの光景を眺めることができた。この様子にライフ誌もまた感情を抑えられなかった。

「1951年で最も華麗なパーティが開催され、あらゆる新聞がこの豪華な騒ぎについて報じた。ヨーロッパ中の自称ソーシャライトたちは、招待状を奪い合った。宮殿の前の運河はゴンドラや船でいっぱいだ。宮殿の近所のオーナーたちは一人あたり最高8万リラで窓からゲストたちを眺められる場所を提供した」

 その夜、宮殿のすべての窓は18世紀と同じように明かりが灯された。もちろん電灯ではない。舞踏会そのものが驚きに溢れていた。ゲストの到着を見守る監視員ですら、衣装に身を包んでいたのだ。

 ドレスコードを守っていないゲストは直ちに追い払われたが、ほとんどの人は何ヵ月もかけて下準備をし、衣装に莫大な金額をかけた。これはまるで、美しいドレスのオリンピックのようなもので、互いに競い合っていた。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 08
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