BLOOD PRESSURE

共演で取り戻した“親子”

June 2017

text stuart husband
issue11

『キーファー・サザーランドのベイ・ボーイ』のプレミア上映会にて(1984年)

 ロサンゼルスでの一家の暮らしは、あまりにも自由奔放で嵐のようだった。母親は政治活動に熱心になる一方、俳優として活躍する父・ドナルドは、家にいることがほとんどなかった。ごく幼いキーファーとの思い出をこう語る。

「2歳のとき、キーファーは同じ所を走り回って壁に頭をぶつけた。やめるように注意すると、キーファーは笑わせようとしているだけだと言ったんだ」

 彼が父の注意を引こうとしたのは、このときだけではなかった。4歳のときに両親が離婚したキーファーは、母に連れられトロントで暮らすことになった。役者の道へ進むきっかけとなったのは、ドナルドが自身の出演作である『ニール・サイモンのキャッシュマン』(1983年)の端役をもらってきてくれたことだった。ただ、ドナルドは不本意な様子だった。

「この仕事は本当に過酷だから、君にはしてほしくないと言われた。父はその点についてはすごく率直だった」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 11
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