BLOOD PRESSURE

共演で取り戻した“親子”

June 2017

text stuart husband
issue11

ドラマ『銀髪の狼』でのドナルド(1968年)

 しかし今、ふたりで合わせて80年を超える映画業界との関わりを経て、親子は共演者として出会うことになった。『Forsaken(原題)』(米2016年2月19日公開、日本公開未定)は、伝統的な西部劇で、父から受け継がれるものと、子が背負う重荷という、サザーランド親子にぴったりのテーマを描いている。

 キーファーが演じるのは寡黙な銃の名手だ。故郷へ帰った彼は、暴力的な行いを理由に自分を突き放した聖職者、ドナルドとの絆を取り戻そうとする。同映画について、キーファーは「当然足がすくむ思いがした」と語った。
「撮影期間の7週間は、それまで父と過ごした時間のなかで一番長かったんだ」

薄らいでいった親子関係 カナダのニューブランズウィック州で生まれたドナルドは、1967年の『特攻大作戦』でリー・マーヴィンとの共演を果たし、役者としての檜舞台に躍り出た。やがて、71年の『コールガール』で共演したジェーン・フォンダと不倫関係になり、彼女とともに反ベトナム戦争をテーマとしたドキュメンタリーを制作するなど、当時の反体制文化にどっぷり漬かっていった。

 キーファー・サザーランドは、そんなドナルドと彼の2番目の妻であるカナダ人女優、シャーリー・ダグラスとの間に生まれた。キーファーという名は、『生ける屍の城』(1964年)を手がけたウォーレン・キーファー監督にちなんで名づけられた。同作は不入りの低予算ホラーだったが、ドナルドが映画デビューを果たした作品である。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 11
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