A DUET OF WARP AND WEFT

縦糸と横糸のデュエット

May 2019

英国の名門テーラー、ケント&ヘイストのジョン・ケント氏とテリー・ヘイスト氏にお願いし、イタリアのヴィターレ・バルベリス・カノニコ社の生地を使って、英伊合作のスーツを仕立てた。
by tom chamberlin
photography kim lang

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社が提供してくれた、非常に軽いピンストライプの生地を使って、それぞれテイストの異なった4着のスーツが生まれた。難しい生地であったが、達人たちの手にかかり、素晴らしい仕上がりとなった。

宗教には与えられないもの カフェイン、タバコ、酒、砂糖などと同じく、布は耽溺性のある物質だ。過剰摂取のおそれがないため、ワクワクするような布地への追求は尽きることがない。

 THE RAKE はちょっとした生地マニアを自任している。縦糸と横糸のデュエットが、何世紀にもわたって男の装いを形作ってきた。この記事では英国人テーラーと、イタリア製生地が織りなす試みをお伝えする。

 今日のテーラーの多くは、名高いカッターがひとりで舵取りをしているが、私たちが頼ったのは、ふたりのカッターが仲よく作業をしているハウスである。そのふたりこそ、エディンバラ公の御用達許可証を持つジョン・ケント氏と、彼の秘蔵っ子、テリー・ヘイスト氏だ。

 ふたりはコンストラクテッド仕立てとアンコン仕立てを使いこなすことで知られている。両氏から助言をもらおうと、サヴィル・ロウのカッターたちがちょくちょく顔を出すのは知られた話だ。

THE RAKEの創始者、ウェイ・コーの大ぶりなラペルと高い袖山。ビスポークならではのディテールだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 26
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