July 2015

EMPIRE OF THE SONS

地球上で最も裕福な一族
―ロスチャイルド家の系譜―

text james medd
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左から、マリー・エレーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人、オリンピア・ド・ロスチャイルド、アレクシス・ド・ルデ男爵、ユベール・フォール夫人、ギー・ド・ロスチャイルド男爵、ダヴィド・ルネ・ド・ロスチャイルド男爵(スペインのマルベーリャにある私邸、ヴィラ・サンタ・マルゲリータのプールを囲んで。1980年)。

豪勢な邸宅の数々 ロスチャイルド一族は投資や利殖に長けていたが、住まいに関してはその才がとりわけ発揮された。19世紀末までに一族は、ヨーロッパで40以上の宮殿や大邸宅を所有し、本拠地のエールズベリーベールは、かつて「ロスチャイルド・シャー」と呼ばれていた。

 同地に数多くある一族の邸宅のなかでも、特に有名になった典型例がワデスドン・マナーである。「ロスチャイルド風」といわれる贅沢な内装やライフスタイルは、のちにアスター家やヴァンダービルト家、ロックフェラー家といった米国の富豪一族にも受け継がれた。

 オーストリア・ロスチャイルド家の出身でイギリス人のいとこと結婚したフェルディナンド男爵(1839~1898年)が1889年に完成させたワデスドン・マナーは、ルネッサンス期の傑作とされるロワール渓谷の名城をモデルにしている。

 このマナーハウスはベルベットや金箔、しっくいで豪華に装飾され、ヴァトーやゲインズバラ、レノルズの貴重な絵画や彫刻、フランスのアンティーク家具が随所に置かれている。

 他方、フェルディナンドのイギリスの従弟、メイヤー男爵(1818~1874年)が建てさせたメントモアタワーズはジャコビアン様式(ジェームズ1世時代のスタイル)とエリザベス様式(エリザベス1世時代のスタイル)を折衷したスタイルで設計された。

 これに触発されたのか、フランスの叔父にあたるジェームズ男爵も、天井をガラス張りにした長さ37メートルのホールや80室のゲスト用スイートを備えたフェリエール城をパリ郊外に建設した。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
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