Wednesday, July 8th, 2015

EMPIRE OF THE SONS

地球上で最も裕福な一族
―ロスチャイルド家の系譜―
19世紀初頭、ドイツ系ユダヤ人の銀行家が5人の息子をヨーロッパ各地の
金融の中心地に送り込み、家業を展開したときからすべては始まった。
それから7世代目の今も、ロスチャイルド家は地球上でもっとも裕福かつ有力な一族だ。
この一族をめぐる金、ダイヤモンド、戦争、ワイン、そして信仰と家族の物語をひもとく。
text james medd
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フランスにあるシャトー・ムートン・ロートシルトの航空写真。
この超一流シャトーを所有するのも、ロスチャイルド一族の分家だ。

大成功を生む秘密——

パリでは、ネイサンの弟ジェームズ(1792~1868年)がフランス経済の中心となる鉄道や鉱山事業に投資した。ジェームズは、5大シャトーとなるシャトー・ラフィット・ロートシルトを設立し、イギリスにいる甥のナサニエル(1812~1870年)もその近くのシャトー・ムートン・ロートシルトを購入してワイン醸造業に乗り出した。これを皮切りにロスチャイルド家はワイン業界への関与を深め、のちに北米や南米、南アフリカやオーストラリアのワイナリーも手中に収めた。
 一方、イギリスのロスチャイルド家はデビアスのダイヤモンド鉱山からロンドンの地下鉄、セシル・ローズによるローデシアの植民地化までありとあらゆる事業に投資し、ロンドンのメイフェア地区の不動産も買い占めた。メイフェアは今でも、世界で最も賃貸料が高い地区の一つである。

国家経済に匹敵する規模一族はまたたく間に目覚ましい成功を遂げたため、ロスチャイルド帝国は2世代のうちに、国家経済に匹敵する規模に成長した。
 1825年には、ネイサンがイングランド銀行のテコ入れを依頼され、孫のネイサン(同名)も60年後に国家財政を支援した。孫のネイサンはその功績に対して男爵位を授与されている。金とともに影響力や権威も手にしたわけだ。
 ロスチャイルド家は1865年から1923年にかけて、アリスバーリー選挙区から庶民院議員を何人も輩出し、婚姻を通じて他の有力な一族とつながりを深めた。ロスチャイルド一族は強い絆で結ばれていたが、各国の名家とも関係も強化していった。
 イギリスではバタシー家やチャムリー家、ローズベリー家といった貴族、イタリアではボルゲーゼ家、後年はグッゲンハイム家やギネス家、ウォーバーグ家、ウッドハウス家とも姻戚関係を結んだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 03
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