VULTURE CAPTALISM
生涯を動物学に捧げた大富豪
第2代ロスチャイルド男爵
January 2020
アムステルダムでの鳥類学会議(1930年)。
大富豪が残した功績 ウォルターは、実は他にも富豪らしい功績を残している。体調が優れないにもかかわらず、国防義勇軍部隊であるロイヤル・バッキンガムシャー義勇農騎兵団の非常勤将校を務め、少佐にまで昇進した。
また、1899年から1910年まではエールズベリーの保守党下院議員としても働いた。そして、パレスチナにユダヤ人の民族的郷土を樹立すべく、英国のアーサー・バルフォア外相およびユダヤ人コミュニティーの指導者らと協力。この計画はバルフォア宣言として知られることとなり、イスラエル国建設を後押しした。
だがウォルターはあらゆる軍事勲章を手放したに違いない。色鮮やかな首、轟き渡る低周波の鳴き声、好戦的な気性を特徴とするパプアニューギニア原産の飛べない鳥類「ヒクイドリ」に夢中だった彼は、生きた個体や死んだ個体の標本を収集し、その研究に時間を費やした。
そしてついに1900年に、自身が最高傑作とみなすヒクイドリ属に関する研究論文『A Monograph of the Genus Casuarius(原題)』を、多数の壮麗な彩色図版付きで出版した。