October 2019

The siren’s call:how Brigitte Bardot redefined female sexuality

女優:ブリジット・バルドー
セイレーンの呼び声

text nick scott
issue10

イタリア人俳優でプレイボーイのジジ・リッツィとともに、サントロペにて(1968年)。

「私はすでに、多くの男性との出会いや恋、激しい情事を経験していた」とバルドー。

「けれどあの夜、私はすっかり心を奪われた。まるでギュンターに抱えられて、おとぎの世界へ向かっているような、ふわふわした気持ちだった」

 世界的プレイボーイとして鳴らしたこのドイツ人億万長者は、ヘリコプターをチャーターすると、コート・ダジュールにあるバルドーの屋敷に何百本もの赤いバラを降らせた。ふたりの豪華な結婚式は、1966年にラスベガスで行われた。夫婦ゆかりの地であるサントロペとサンモリッツは、ジェットセッター御用達のエリアとして知られることとなる。

 しかし、やはりというべきか、3年間の結婚生活で一夫一婦制が重んじられることはなかった。1968年の夏、バルドーはプレイボーイ俳優のジジ・リッツィとの情事に溺れた。逢い引きの場所となったのは、サントロペに停泊しているリーヴァ社製のヨットだった。

 浮気はこれだけではなかった。バルドーは後に「夫婦として一緒に過ごした期間は、合計しても3カ月以下だったと思う」と振り返っている。

「確かに私はギュンターを裏切ったけれど、彼は私よりはるかに浮気者だった」

結局ふたりは1969年10月に穏便に離婚し、別れた後も友人であり続けた。そのため、ギュンター・ザックスが2011年にスイスのグシュタードにある自宅で自殺したことを知ったとき、バルドーは大いに悲しんだという。

不貞を働く方がまし かつてバルドーは「仕方なく貞節を守るより、不貞を働く方がましよ」と述べた。その言葉通り、彼女と枕を交わした男性は、かなりの数に上った。中でも、音楽家は常に気になる存在だったようだ。名曲『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』でデュエットしたセルジュ・ゲンズブールを筆頭に、マルチェロ・マストロヤンニ、ジルベール・ベコー、サッシャ・ディステルにも惹かれた。

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『私生活』でのマルチェロ・マストロヤンニとの共演シーン(1962年)。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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