October 2019

The siren’s call:how Brigitte Bardot redefined female sexuality

女優:ブリジット・バルドー
セイレーンの呼び声

text nick scott
issue10

『素直な悪女』(1956年)の有名なダンスシーン。

 このシーンを演じられたのは、きっとバルドーだけだった。彼女がいなければ、あの映画は成功しなかったはずだ。バルドーの輝くような性的魅力は、彼女だけのものだからだ。

 確かに彼女は前歯に隙間があったし、口をとがらせていると、その横顔はちょっとツンケンしているように見えた。だが、こうした外見上のわずかな欠点は、猫のような目、ふわりと風に舞う髪、ふっくらとした唇といった、セクシーな部分をさらに際立たせた。パリ音楽院でのバレエレッスンによって鍛えられたボディも、彼女の強力な武器だった。

新しいセックスシンボル「世の中には美女がゴマンといますが、バルドーは別格です。それは彼女にしか持ち得ない、独特の美です」と、キングス・カレッジ・ロンドンの映画学教授、ジネット・ヴァンサンドーは語る。

「バルドーは当時、旧習を打破してタブーを犯す、掟破りの存在でした。そして女性解放の象徴でもありました。彼女の場合、それは主に性的な解放を意味しましたが、女性の解放は他の分野でも始まっていました。バルドー自身はフェミニストではありませんが、フェミニストの原型といえる人物です。セックスシンボルでありながら、自らの欲望に正直でもありました。強烈な個性を持ち、自分の欲しいものを何でも手に入れ、しかも男性を喜ばせる方法をも知っていました」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 16
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