The siren’s call:how Brigitte Bardot redefined female sexuality
女優ブリジット・バルドー:セイレーンの呼び声
September 2024
『何がなんでも首ったけ』(1961年)でバルドーに指示を与えるロジェ・ヴァディム。
6歳年上のヴァディムと恋仲になったのは、彼女が16歳のときだ。ヴァディムはその後、バルドーの出世作である『素直な悪女』の監督を務めた。映画はバルドーを世界的女優へと押し上げたが、同時に夫婦関係を破局に導いた。撮影中、バルドーが共演者のジャン=ルイ・トランティニャンと恋に落ちたからだ。ラブシーンの撮影時、監督の椅子に座る哀れな夫が「カット!」と叫んでも、バルドーとトランティニャンはいつまでも唇を合わせていたという。バルドー夫婦は、結婚から4年後に離婚した。
その数年後、彼女は『バベット戦争に行く』で共演したすこぶるつきの美男子、ジャック・シャリエと結婚した。この結婚で、バルドーは唯一のわが子を産んだ。出産に対しては少なからずためらいがあったという。回想録では、25歳で妊娠を知ったときの気持ちをこう記している。
「鏡に映る、平らでほっそりした自分のお腹を見たときは、大切な友人の棺の蓋を閉めようとしているような気分だった」
世界的プレイボーイとの出会い 3人目の夫、ギュンター・ザックスは、彼女の享楽的な生き方を後押しした。ザックスがいかに多才であったかは、「プレイボーイ、実業家、画廊経営者、美術コレクター、映画制作者、写真家、占星術師、企業の重役、スポーツマン」という彼の肩書きを見れば一目瞭然だ。ふたりのロマンスは1966年の5月に始まった。