November 2020

THE MAESTRO'S MASERATI

堺 正章氏 マセラティの魅力を語る

「疲れ果てて2日続けて同じ服を着たまま、着替えるのも惜しんで眠ることがあるぐらい」だから、レースの際はどうしても機能美優先でスポーツウェアを着ることが多くなる。マセラティのロゴ入りベストはゼニア。

 先日のクラシックカーレースでは、スタンプラリーと線踏みと呼ばれる、決められた距離を決められた時間内で走り抜ける競技にミストラルで参加した。

「マセラティならではの音を聞きながら自然の中で車を走らせていると、暑くて大変だったりしても、その別世界がいい気分転換になるんだよ」

 マセラティが与えてくれるコトは多い。

「僕にとっては、マセラティはひとつの“安心”なんです。それは、美しいのに奥ゆかしくて、スペシャルな品質がありつつ、歴史的にビジネスの危うさやレースに勝てなかった影もあり、それでも恥じることなく乗れる唯一無二の魅力や誇り高さがある。売るためじゃなくて自分のために車を作っていたマセラティ兄弟ってなんかいいよねと。そこを好きな自分っていうのは、まだまだ大丈夫だな、という安心感につながるんです。生きていく上でのひとつの指標。僕にとって車はただの移動手段じゃないんですね。今、なんとなく世の中にロマンがなくなって現実的になっちゃっているけれど、愛せるものとの出会いがある人のほうが人生楽しめる。好きなものに熱くなれるヤツは、話していても面白いよね」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 36
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