THE KING’S REACH

チャールズ皇太子の素顔(Issue07/2015年11月24日発売号掲載記事)

May 2023

text hugo vickers (royal biographer)

パプアニューギニアでサファリスーツを着こなす皇太子(1984年)。

ロイヤルファミリーの使命 慈善活動もロイヤルファミリーの務めだと最初に気づいたのはヴィクトリア女王の夫、アルバート公だった。そこでヘレナ王女(クリスティアン王女)らは養護施設を設立し、自らも慈善団体の運営に携わった。こうした信念は今も受け継がれている。

 チャールズ皇太子の慈善事業と彼の「使命」については、何冊もの本で紹介されている。皇太子は幼い頃から、世の中に貢献したいと思っていた。彼はいつも父を見習い、青少年を支援する取り組みや、環境問題を指摘して将来の世代のために地球を守る取り組みなど、多くの慈善事業をエディンバラ公から受け継いでいる。

 1976年に英国海軍を除隊すると、皇太子は皇太子信託基金を設立した。これは恵まれない青少年の、新たな人生のスタートを支援することを目的としており、大成功を収めている。ここからさらに数々の信託基金や団体が生まれ、インナーシティ問題、イスラム問題、学習支援、身体障害などのテーマに取り組んでいる。 チャールズ皇太子は、少年犯罪者や非識字者、薬物中毒者など、これまで「サポートできなかった人々」を支援しているとして評価されている。

 2009年には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相やフランス前大統領のニコラ・サルコジ氏、オーストラリア元首相のケビン・ラッド氏、イタリア元首相のシルヴィオ・ベルルスコーニ氏、ヒラリー・クリントン氏などを招いて、皇太子熱帯雨林プロジェクトのサミットを開催した。

 2014年には洪水の被害を受けたイングランド南西部のサマセットを訪問し、今何をするべきか、お手本を見せた。政治家たちはすぐに彼の後に続き、被災地を支援するために1億4,000万ユーロが交付された。

 皇太子の影響力はイギリス連邦を超えて広がり、ルーマニアなどの諸国まで及んでいる。カナダには、しっかりしたスポンサーが付いているプリンス・チャリティーズ・カナダがあり、2012年には活動40周年を迎えている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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