May 2023

THE KING’S REACH

チャールズ皇太子の素顔(Issue07/2015年11月24日発売号掲載記事)

text hugo vickers (royal biographer)

ミラ夫人、ジョージ王子、ウィリアム王子夫妻、エリザベス二世、ハリー王子と共に(2015年前半に撮影)。

これからのチャールズ皇太子 さて、チャールズ皇太子はどんな国王になるのだろうか。その答えは誰にもわからないが、即位すれば、彼は新たな人間として生まれ変わる。バーティとよばれたプリンス・オブ・ウェールズは怠け者だと思われていたが、エドワード7世として即位すると外交手腕を発揮し、やがてヨーロッパで最も尊敬される君主の一人になった。

 フランシス・ドナルドソンによれば、ウィンザー公は、立場によって異なる顔を見せたらしい。誰もに愛されるプリンス・オブ・ウェールズから、大きな問題を心に秘めた、短気な国王になり、退位後のウィンザー公は苦々しい思いを抱いていたという。内気なヨーク公だったジョージ6世は即位すると表舞台に登場し、1939~1945年の対ドイツ戦ではリーダーシップを発揮した。

 カミラ夫人の変化にも注目したい。2005年に皇太子と結婚するまで、マスコミは彼女を憎まれ役の愛人として叩いていたが、すぐに夫を支える妻とみなされるようになった。チャールズ皇太子はしばしば、自分が貧乏くじを引いたような気分になる。

 母のエリザベス女王にはとても太刀打ちできないし、息子のウィリアム王子は大衆に人気があり、幼いジョージ王子は、登場するたびに歓喜の声で迎えられる。だが、チャールズ皇太子は自らのプロジェクトに協力した人の多くから尊敬されている。彼は趣味の良い教養人なのだ。

 彼の治世は非常に興味深いものになるだろう。この先には、どんな運命が待ち構えているのだろうか。晩年になるほど充実した、遅咲きの人生が待っていることを祈ろう。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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