August 2021

THE (DOUBLE) X FACTOR

染色体 XXだけのフォーミュラ

text nick scott

ベルギー・ゾルダーサーキットの表彰台に立つジェイミー・チャドウィック、ベイスク・フィッセール、アリス・パウエル。

懐疑的な意見と批判 Wシリーズについては残念ながらいくつかの懐疑的な意見と批判を呼んだ。一部の人々からは、女性にとってはコースがややトリッキーで、コーナーで早くブレーキを踏んでしまうのでは、との声が上がった。レースを見た人なら、それがいかに的外れな意見かわかるだろう。

 フェミニストの中にさえ、このシリーズの意図を誤解して、彼女たちを逆に制限してしまうのではないかと危惧する者がいた。だが、それも見当違いだ。「ジェイミーはWシリーズで初代チャンピオンとなっただけでなく、その後ドイツ、ニュルブルクリンクでの24時間耐久レースでも勝っている。この結果は当然と思います」とクルサード。

「『Wシリーズは隔離と分裂を意味する』という人もいますが、そうではありません。女性が経験豊富な男性と張り合うのではなく、評価される場で彼女たちを育成する取り組み。F1レーサーに交ざって、シミュレーター訓練やフィジカルとメンタル両面のトレーニングができる場が、女性ドライバーにはなかったのです」

 女性と男性とでは勝負にならないことを認めたのだという意見については、真に受ける価値もない。スポーツとしての需要が低いという意見も同様だ。イートンはこう述べる。
「ドライビングは身体的にとても厳しいものです。それだけでなくメンタルも消耗します。週末はずっと完全な集中力が求められるし、コースに出るたびに大量のアドレナリンが放出され、終わると低下する。そしてまたコースに出ると次の刺激が待っている。体だけでなく心にも強い負荷がかかるのです」

レース開催が困難となった2020年、eスポーツのシリーズ『W Series Esports League』を開催。バーチャルレースを行った。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 40
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