July 2021

The 10 MOST Rakish JAPANESE SHOMAKERS: YUKI SHIRAHAMA BOTTIER

ユウキ・シラハマ ボティエ:日・伊・仏が融け合った現代的なビスポーク

時代を超えたエスプリに富んだ多様な靴が揃う。
白濱結城氏の柔軟な感性こそ、ビスポークシューズの新しいラグジュアリーだ。
text yuko fujita
photography jun udagawa

ミラノのセレクトショップ、エラル55 好きの顧客から「同店の服に合う靴を」という要望を受けて作った2足。ともにビスポークで、ストームウェルト仕様の象革プレーントウ(¥897,000)やコマンドソールのダブルモンク(¥397,0000)という発想が面白い。ビスポークは¥320,000~(3種あるシューツリーは¥17,000~)で納期は1年半~。

 2017年、福岡から京都に拠点を移した白濱結城氏は、デザインに対してモダンなアプローチを試みている、大変興味深いビスポークシューメーカーだ。ギルド フットウェア カレッジで基礎を学び、神戸のスピーゴラとパリのアルタンで修業した氏は、パリのビスポークの自由度に共感し、それを日本でも体現している。氏のような靴職人がいることが、ニッポンのビスポークシューズの面白さである。

 優美な丸みのあるドレスシューズも手がけるが、ときにストリートに、ときにモードに、ときにヴィンテージにと、さまざまなスタイルに振った靴を仕立てられる柔軟さは、白濱氏の大きな強みだ。例えば、外羽根のストームウェルトのプレーントウ。同デザインでビスポークするのは日本では一般的ではないが、ブルーの象革を用いたことでさらに個性の引き立つ靴に仕上げている。グレインレザー&コマンドソールのダブルモンクという組み合わせも然りだ。どちらも単なる思いつきから生まれたものではなく、確かな技術とモダンな感性によって細部まで練られたものだ。ユウキ シラハマは、新しいラグジュアリービスポークだ。

コンテンポラリーな
コンビのブーツ
上からはウェルトがほとんど見えないが、ブラインドウェルトのハンドソーン仕様によるサイドゴアブーツ。つま先から流れる2本のラインの走らせ方やサイドゴアのデザイン、ステッチの走らせ方など、ジワジワとこの靴の凄さが伝わってくる、不思議な魅力を秘めた一足。ビスポークで¥407,000~。

ビスポークでは
珍しいサンダルも
ビスポークのサンダルというのはあまり聞かないし、そもそも発想としてあまりないが、こういうのを作ってしまうところが白濱氏らしい。ちなみにパリのビスポークはレディースシューズも盛況していた時代があり、このサンダルもその時代のと同じ製法で作られている。ビスポークで¥360,000~。

白濵 結城しらはま ゆうき。1978年福岡県生まれ。2002年からギルド フットウェア カレッジに2年間通い、2006年から鈴木幸次氏のスピーゴラで3年間修業。2009年に渡仏し、グランムジュールメゾンのアルタン・ボティエで故シュクル・センソズル氏に師事。2010年に帰国後、福岡に自身のビスポーク靴工房をオープン。昨年、京都に移転。都内ではストラスブルゴなどで受注会を開催している。

ユウキ・シラハマ ボティエ京都府京都市中京区甲屋町394 パレロワイヤル四条堺町1F
TEL.075-744-6546 
(休)日曜  ys-bottier.com

本記事は2018年9月22日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 24

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

世界を虜にするニッポンの 美しい靴ベスト10

イーサン・ニュートン×福田洋平 座談会

ウェルドレッサーたちもオーダーしているニッポンのビスポーク靴

スピーゴラ:世界一美しいクロコダイルのビスポークシューズ

ヨウヘイ フクダ:ミリ単位の美意識が生む完璧なプロポーション

マーキス シューメーカー:1930~40年代の英国ビスポークの靴作りを追求

イル クアドリフォリオ:個性革を自在に操る、革の魔術師

アン:ブロックから削り出すラストメイキングの奇才

セイジ・マッカーシー:日米ハーフの元エリートによる超絶クールなビスポーク靴

タイ・シューメーカー:スラッとしていてグラマラス。女性のような色気のビスポーク

コルノ ブルゥ:完成されたベースラストから生まれる安心のビスポーク

コウジ エンドウ ボティエ:フランス仕込みのノルヴェジェーゼで世界を魅了