STYLE HEROES

フランスきっての色男、セルジュ・ゲンズブール

August 2021

当時のセックスシンボル、ブリジット・バルドーと(1960年頃)。

 ユダヤ人で“醜男”というコンプレックスを抱えていたゲンズブールは、かつてこう語っていた。

「私は自分の限界を知っている。だからこそ、私はその先にいるのだ」

 これほどまでに自分の公の姿をあからさまに意識していたとなると、彼の無頓着で無造作風のスタイルは本当に人格の一部だったのか、それとも外見よりも着こなしそのものを重視していたのか、疑問に思うところではある。

 セルジュ・ゲンズブールという人間については、常に挑発的で、論争を巻き起こし、型にはまったものに対する反抗というイメージを呼び起こす。だがそれが意識的であったかどうかにかかわらず、忘れてはならないことは、彼が着こなしの上級者だったということだ。

フランソワーズ・アントワネット・パンクラッツィとのウエディングパーティ(1964年)。

本記事は2021年5月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 40

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