紳士が愛する名作服地 01
SMITH WOOLLENS “ABACUS”
スミス・ウールンズ “アバカス”
April 2020
photography jun udagawa, frederic aranda, yasutoshi sawano
styling akihiro shikata
直井 同じグループでも近い質感の生地があるんですけど、アバカスのウェイトは300〜320g/mと、より軽さがありますよね。シワにもなりにくいと思いますし、その軽さが今日的な印象を生んでいます。ちなみに私のお客様には少し前まではイタリアの生地のほうが人気が高かったのですが、最近は英国生地を好むお客様のほうが多くなりました。夏の定番で今まではフレスコ系のざっくりしたものやスミス・ウールンズだったらフィンメレスコをオススメすることが多かったのですが、これからはアバカスもオススメしていきたいですし、実際これは人気が出るぞ、と思いました。
船橋 仕立て上がるとしなやかさも出そうですよね。フレスコと比べて透けることもありません。非常にバランスよく織られていると思います。
直井 私の服との相性もよさそうです。夏って、お客様に紹介するのに今まで結構困っていて、モヘア混の生地かざっくりしたフレスコ系に限られていたのですが、これはそこまでざっくりした感じではなくて、柔らかい生地が好きなお客様にも好まれるのではないでしょうか。
船橋 見た目は昔から何も変わっていないですけど、ウェイトとかタッチのバランスが新しいんですよね。シャリ感もあるし、内容物とか省いてもきれいなドレープを描くスーツができるんじゃないかな。
直井 あと、価格も魅力的ですね。スミス・ウールンズの生地は比較的お手頃なイメージがあって、夏ものって着る機会が少ないですし、汗をかきますので、すごいお金持ちの方でもそこまでラグジュアリーな生地を求められない方が結構いらっしゃいまして。そういった方にアバカスはぜひオススメしたいですね。質実剛健で耐久性もあって、テーラーから見たら文句なしのクオリティです。
船橋 実際、もちがいいですからね。この生地も丁寧に着ていけば十分30年はもつと思います。程よいシャリ感としなやかさがあるので、夏の生地としては文句なしだと思いますし、夏に限らず3シーズンオススメしたい生地ですね。
SARTORIA YPSILON【サルトリア イプシロン】イタリアの紳士に78年に仕立てた
服をベースにしたローマンスタイル
1977年からローマで修業し、2009年までミラノにサルトリアを開いていたサルトリア イプシロンの船橋幸彦氏は、フェデリコ・フェリーニを筆頭に、これまでにイタリアの数々の有名人の服を仕立ててきた。氏の服は、当時の有名人たちに仕立てた服をベースにしたものも多く、こちらは氏が1978年にフルート奏者セヴェリーノ・ガッゼローニに仕立てた服をアレンジした「ローマ」というモデル。肩パッドを省き、裾のカットがローマらしいスクエア感を特徴とする。が、ポイントがやや上にあるのとマニカカミーチャ仕様で、若々しさも備える。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥220,000(オーダー価格) Sartoria Ypsilon /ⒶⒷ シャツ¥39,000 Borriello /Ⓐ タイ、チーフ property of stylist
SHIGEAKI NAOI【シゲアキ ナオイ】ディテールでのちょっとした遊びと
軽やかな着心地にこだわった一着
たフロントカットまで、若々しく軽やかな要素がちりばめられた一着。作りの面でこだわっているのは袖のイセ分量を多くとりながら、これ見よがしにするのでなく、全体にきれいにイセが入るようにこだわっている点だ。また、アームホールは高い位置に設定され、腕の可動域もしっかり確保されている。スミス・ウールンズのアバカスは、従来のスミス・ウールンズらしいクラシックな色柄に加え、このような若々しいデザインも揃っている。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥220,000(オーダー価格) Shigeaki Naoi /Ⓐ シャツ¥36,000 Borriello /Ⓐ タイ¥28,000 Sevenfold /Ⓐ
お問い合わせ先
Ⓐ伊勢丹新宿店 TEL. 03-3352-1111(大代表)
Ⓑ日本橋三越本店 TEL. 03-3241-3311(大代表)
本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 32