SEWING THE SEEDS OF TIME
俳優:パトリック・スチュワート
円熟の境地
October 2019
『トラブルボーダー』(1997年)。
「コミカルな役のオファーはいつでも大歓迎なのに、めったに来ないんだ。でも本当はコメディが大好きなんだよ」
だから、遊び心あふれるツイートにハマっているのだろうか? スチュワートの笑いに対する姿勢はもっと真摯だ。
「ずっと前にローレンス・オリヴィエがインタビューで言っていたんだ。演じているときに観客が息をのみ、すすり泣き、叫ぶ声を聞くのもすばらしいけど、自分の演技を見て笑っている観客の声を聞くのはもっと最高だ、とね。僕も同感だ。だからセス・マクファーレンからコメディをやってみないかと声をかけられたとき、すぐにやると答えたよ。これまでの人生でも最高の経験のひとつだった」
多忙な2016年を締めくくるプロジェクトは、ウェストエンドの舞台『No Man’s Land』(ハロルド・ピンター作)だった。この舞台で彼が演じたのは上流階級出身でアルコール依存症のライター、ハースト。その相方、無気力で理知的な詩人スプーナーを演じたのはイアン・マッケランだ。