August 2020

PAUL FEIG'S MIXED BLESSING

お洒落監督の流儀
―ポール・フェイグ―

text tom chamberlin photography robert spangle

サスペンス・スリラー映画『シンプル・フェイバー』(2018年)に主演したブレイク・ライブリーとポール。

 インクルージョン・ライダーを導入すれば、常連以外の人が最初に面接を受け、実力を示すチャンスを手に入れます。もともと起用しようと思っていた人より彼らのほうがはるかに優れているというケースは、実は少なくありません。だから私にとっては、平等な組織をつくるための決め手なのです。最終的に、平等を義務づける法的な仕組みになればいいですね。

 厄介なのは、女性幹部からよく聞く“とにかく最適な人材を起用しなければならない”という言葉です。これは私にとって悩ましい問題です。“女性や有色人種だから、他より劣っているから雇おう”という感じではダメですね。そんなことはできません。適任者が適切な機会を得て実力を証明できるよう、考えるべきです。

 無名の新人と出会い、この人に賭けてみようと思うこともあります。そうやって大成功したケースもあれば、うまくいかなかったケースもあります。でもそれでいいんです。チャンスを与えたのですから。

 私にできるのは機会を与えること。妨害されたと言い訳はできません。問題が起きるのは、才能のある人が機会を得られないとき。こんなときには不正が生じます」

本記事は2020年7月27日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 35

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