Monday, August 26th, 2019

MICHAEL FASSBENDER
LOVING THE ALIEN
変人役を愛でる理由

働く意義を自身に問う休業宣言

 そのビジュアルとストイックな役作りから、ついたあだ名は“第2のダニエル・デイ・ルイス”。3度のオスカーを獲得しながらも隠遁生活を送るかの名優とは、そのマイペースなあり方も似ているかもしれない。『スティーブ・ジョブズ』(2015年)で最新技術の権化を演じた彼が、テクノロジーが大の苦手というのは、冗談のような本当の話だ。携帯電話を持つことさえも長らく拒絶し、ようやく持ったiPhoneもほとんど電源を切ったままで、何度も紛失しているらしい。セレブの友人は「2~3人」。ロンドンの町では、ファンに時折呼び止められながらも普通に歩き回り、時にはバスにも乗っているという。
「19歳の頃から20年以上ロンドンに住んでいる。あらゆる文化や宗教的背景がまじりあった魅力に、いつも触発されてきた。ただ今はちょっと風景を変えたい気もしてる。もう少しゆったりした刺激の少ない場所に―といってもヨーロッパのどこかだろうけど」
 思わせぶりな言葉に符合するふたつのニュースが飛び込んできたのは、つい最近のことだ。ひとつは、日本でも公開された『光をくれた人』で共演し、交際が続いていたアリシア・ヴィキャンデルと同棲を始めたこと。そしてもうひとつは、俳優としての休業宣言である。
「この5年は次から次へと役を渡り歩き、仕事中毒ギリギリだったと思う。自分自身に問いかけたいんだ。なぜそこまで働くのか? 仕事に食らいついていたのか? いくつかの仕事を後世に残したいのか? この地位を得たかったのか? わからないけど、確かなのは、しばらく演じることから離れようと思っていること。辞めることも視野に入れている。役者としてやっていけるのは、ベストを尽くせると確信できる時までだと思うからね」

全世界にその存在を知らしめた衝撃作『SHAME -シェイム-』。2011年はこの作品を含め5本の映画に出演。
Photo by Getty Images

THE RAKE JAPAN EDITION issue 17
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