MARK TALKS ABOUT JAPANESE CRAFTSMANSHIP

マーク・チョーが語るジャパニーズ・クラフツマンシップ Vol.1

May 2021

text yoshimi hasegawa

POINT: ここがスゴイ!

洋銀の塊から削り出して製造した0.8mm厚の文字盤にビーズブラスト技法で表面を荒らし、デザインを転写。上から手彫りでブレゲ・アラビック・インデックスを彫り込み、この後カシュー(人工漆)を流し込む。精緻な職人技が生きる。

 TYPE 1Bは1930年代の腕時計の意匠を再現するため、ETA7750からクロノグラフ機構と自動巻き機構を取り除き、後退式コハゼ機構を組み込んだ、手巻きムーブメントを開発した。

「1950年代にオーデマ ピゲとパテックフィリップが作ったクロノメータームーブメントにインスパイアされているため、9時位置にスモールセコンドがある。この独自のアイデアとデザインが好きですね。手彫りのブレゲ数字にまず目を奪われますが、針の立体感など細部の手仕事が実に美しい。同時に現代的な日本の製造技術を用いて、ケースやラグ、バックルなど信じられないほど精密に作られています。巻き上げ機構のリュウズの心地よいクリック感がその良い例です。飛田さんと会話をし、彼の時計に対するビジョンを理解するにつれ、尊敬の念を抱くようになりました。この時計の製造技術は珍しく、生産数も非常に限られている。私も共感する明確な美学に基づいたモノづくりをしていることを知り、購入を決めるまで30分もかかりませんでした。香港の友人にも購入を勧め、トランクショーも行うほど、この時計を気に入っています」

 日本でしか作ることのできない新旧「メイド・イン・ジャパン」の結晶。それがNAOYA HIDA & Co. の時計だ。

Naoya Hida & Co.
https://naoyahidawatch.com

The Armoury
https://thearmoury.com

現行モデルのNH TYPE 1C。

同じく現行のNH TYPE 2A。SUS904Lステンレス(直径37mm、厚さ10.7mm)、手巻き(中三針式Cal.3020CS)。パワーリザーブ約45時間 ¥2,100,000 Naoya Hida & Co.

本記事は2021年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 39

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

マーク・チョーが語るジャパニーズ・クラフツマンシップ Vol.2

マーク・チョーが語るジャパニーズ・クラフツマンシップ Vol.3