JAPANESE CUT
世界が注目する
ニッポンの新世代テーラー
July 2019
ANGLOFILO
―アングロフィロ―
誰よりもナポリの空気を追う男名はまだ知られていないが、素晴らしい腕の持ち主だ。
そして何より、彼、小野雄介氏には、
サルトとしてのほとばしるサルトのパッションが宿っている。

Yusuche Ono / 小野 雄介1976年生まれ。ビームス、ストラスブルゴの販売員時代にイタリアンクラシックに開眼。次第に作り手の職人に憧れを抱き始める。サルトを志して2003年に渡伊。フィレンツェとナポリで計3年間修業。2006年に帰国し、自身のサルトリアを始動する。2013年より名を「アングロフィロ」に。
何年も前に仕立てたジャケットを着用。でも、それが大変味わい深く見えた。サルトの仕事の真骨頂だ。
「きれいに仕立てられた服を見てもなんとも思いませんが、雰囲気のある服を見ると凄く嫉妬してしまうんです」と開口一番。小野氏の美的感覚はイタリア人そのものだ。彼が発した嫉妬という言葉の向こうに、目指さんとする服のスタイルが窺える。
フィレンツェで1年、ナポリで2年修業した。ビザの関係で失意のもと日本に戻ることとなったが、イタリアを愛し、彼の地の職人をリスペクトする思いは誰よりも強い。心はいつもイタリアにある。
ナポリで影響を受けたのは、ほとんどが名もないテーラーからだった。小野氏にとって彼らは死ぬほどカッコいいヒーローで、ファット ア マーノの真意も彼らの仕事を見続けてきて学んだという。
「極端な話、ひとつのサルトリアに3カ月もいれば、ある程度の作り方は学べるんです。でも文化は学べない。イタリアにいた3年間で、彼らがどういう生き方をし、自分の仕事にどう誇りを持っているのかを知れたのが大きかったです」
本記事は2016年1月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 08