Monday, July 22nd, 2019

世界が注目する
ニッポンの新世代テーラー

Yusuche Ono
小野 雄介

1976年生まれ。ビームス、ストラスブルゴの販売員時代にイタリアンクラシックに開眼。次第に作り手の職人に憧れを抱き始める。サルトを志して2003年に渡伊。フィレンツェとナポリで計3年間修業。2006年に帰国し、自身のサルトリアを始動する。2013年より名を「アングロフィロ」に。
何年も前に仕立てたジャケットを着用。でも、それが大変味わい深く見えた。サルトの仕事の真骨頂だ。

ANGLOFILO
―アングロフィロ―
誰よりもナポリの空気を追う男

名はまだ知られていないが、素晴らしい腕の持ち主だ。
そして何より、彼、小野雄介氏には、
サルトとしてのほとばしるサルトのパッションが宿っている。
「きれいに仕立てられた服を見てもなんとも思いませんが、雰囲気のある服を見ると凄く嫉妬してしまうんです」と開口一番。小野氏の美的感覚はイタリア人そのものだ。彼が発した嫉妬という言葉の向こうに、目指さんとする服のスタイルが窺える。
 フィレンツェで1年、ナポリで2年修業した。ビザの関係で失意のもと日本に戻ることとなったが、イタリアを愛し、彼の地の職人をリスペクトする思いは誰よりも強い。心はいつもイタリアにある。
 ナポリで影響を受けたのは、ほとんどが名もないテーラーからだった。小野氏にとって彼らは死ぬほどカッコいいヒーローで、ファット ア マーノの真意も彼らの仕事を見続けてきて学んだという。
「極端な話、ひとつのサルトリアに3カ月もいれば、ある程度の作り方は学べるんです。でも文化は学べない。イタリアにいた3年間で、彼らがどういう生き方をし、自分の仕事にどう誇りを持っているのかを知れたのが大きかったです」
 ナポリの職人たちが幼少期からやってきた手法で今なお服を仕立て続けているのと同じように、小野氏も彼らに教わったことを頑なに守っている。彼の服は、ファッションとは別の次元にある。時の経過とともに価値が増していく服だ。それが真のファット ア マーノだと彼は考える。でもそれはときに理解してもらえるまで時間を要する。実際、知名度は、彼の実力からしたらまだまだだ。それでも今では、海外からも注文が入るようになった。日本でも噂を聞きつけたナポリ仕立て好きが彼のもとを訪れる。
「日本で仕事をしてきて腕は上がりましたが、自分の服がどんどんスポイルされていくのがわかるんです。やはりナポリの服のような雰囲気がある服を作りたい。日本でもナポリのようにimperfezione(不完全)の美を理解してもらえる土壌が育っていくと嬉しいですね」
 やや皮肉めいたこのセリフも、らしくていい。そもそも「Anglofilo」は、イタリア語で英国贔屓を意味するのだから。

アングロフィロ
anglofilo.tumblr.com
オーダーを希望される方はanglofilosumisura@gmail.com までご連絡を。

本記事は2016年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 08

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