August 2021

ED ’N SHOULDERS

エドワード・セクストンが生む
官能的ショルダー

text aleksandar cvetkovic
photography alex krook

魅惑的なセクストンスタイル 私もセクストンで初めてのビスポークスーツを誂えるという幸運に恵まれたが、それは魅惑的な美学がギュッと凝縮されたようなひとときだった。あの立体的なセクストンスタイルを受け入れ、かの有名な4つボタン1つ掛けのダブルスーツを選ぶときがきたのだ。彼の右腕であるクリエイティブディレクター、ドミニク・セバーグ‐モンテフィオーレはこう語る。

「下のボタンを掛けるセクストンのダブルスーツは、1930年代を彷彿とさせます。『カサブランカ』をイメージしてください。力強いショルダーラインからウエストに向かって絞り込み、ヒップにぴったりとフィットさせることで、肩や骨盤を強調します。胸にボリュームをもたせ、ウエストを細くしているので、身体を動かすと独特のラインが生まれるのです」

 このスーツの特徴は、ひときわ力強さが漲る肩に盛り上がった袖山、それに幅4.5インチ(11.4センチ)もあるピークドラペルにある。セクストン曰く「long, low and leafy(長く、低く、葉のような)」シェイプがショルダーラインに目を惹きつける。これにシングルのポストボーイ・ウエストコート、そして斜めの玉縁ポケットと前面のプリーツ、ピストルサイドアジャスターが付いたハイウエストのトラウザーズを合わせれば、スタイルが決まる。セバーグ‐モンテフィオーレはこう続ける。

「私たちは、お客様がどんな場面でその服をお召しになるのかを理解するために時間をかけています。仕事でお召しになるクリエイターの方も少なくありませんが、多くのお客様はディナーや会員制クラブといった夜のお出かけ用に服を誂えておられます。個性を表現しながら、スマートで洗練されたスタイルに見せたいというお客様のニーズを、私たちは心得ているのです」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 11
1 2 3

Contents