紳士が愛する名作服地 03

DORMEUIL “15.7”
ドーメル“15.7”(フィフティーン ポイント セブン)

April 2020

text & photography(italy) yuko fujita
photography jun udagawa styling akihiro shikata

鈴木 スーパー160sだからさすがにデイリーユースではないですけど、8プライにしているからそれなりに耐久性もありますし、トラベラースーツとしても十分対応してくれますからね。すごく画期的な生地だと思います。日本人は艶のある生地を好みますが、世界的にはマットがトレンドですし、そういった意味では世界のマーケットでも受けいれられる可能性は大いにあります。

佐藤 ところでこの伸縮性は織りによって出しているんですか? それとも糸の特性でしょうか? 

鈴木 強撚糸を使用しているのと、組織が平織りである点、あとは贅沢な糸の使い方をしているので、もともと伸びる毛の特性を殺さないよう、原毛からの紡績をとても慎重にやっているのも大きく寄与していると思います。

佐藤 ウェイトがありつつ肌触りがよくてシワになりにくく、ストレッチ性まで備えた生地というのはなかなかないじゃないですか。そしてこのマットな感じも、これからいいんじゃないですかね。

TAILOR CAID 【テーラーケイド】今日的にアップデートされた
No.1サックスーツ

アメトラひと筋30年を超える山本祐平氏によるテーラーケイドのこちらは、3つボタン段返り、ナチュラルショルダーによる正統派No.1サックスーツをより現代的なスタイルに仕上げた、昨年登場したニューモデル。7mmステッチが利いた襟は従来よりも若干幅広になり、80年代のアメリカントラッド的なスモールウエストに仕上がっており、見事今日的にアップデートされている。生地はドーメルの15.7の8プライ。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥300,000(オーダー価格) Tailor Caid /ⒶⒷ

HIDEAKI SATO 【ヒデアキ サトウ】王道のミラノスタイルの
完成された美しさ

ミラノスタイルの第一人者である佐藤英明氏のスーツは、ミラノという括りの中でも軽く柔らかな着心地だ。氏のスーツが高い人気を維持し続けている理由のひとつはそこにある。それと、氏が考える中庸が、ミラノスタイルの本懐を実に的確に捉えている点も非常に大きい。10年後、20年後にこのスーツを着ても、それはミラノスタイルを体現した佐藤氏の服だから、古さは皆無である。長らく着られるドーメルの15.7の8プライならなおさらだ。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。3ピーススーツ¥429,000(オーダー価格)Hideaki Sato /ⒶⒷ

LID TAILOR【リッド テーラー】クラシックな英国スタイルは
着ると驚くほど軽やか

20歳でテーラーの世界に入り、14年のキャリアを積んで2006年にリッドテーラーをオープンさせた根本 修氏のスーツは、ドロップ気味の肩回りがとても柔らかで、仕立ては軽やか。コンパクトなアームホール、太めのスリーブ、長めのトリムラインなど、クラシックな英国スタイルの顔に現代的な軽やかさを見事にマッチさせた服となっている。15.7の8プライを乗せたこちらは、彼の服の絶妙な柔らかさを、上手い具合に引き出している。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥345,000(オーダー価格)Lid Tailor /ⒶⒷ

お問い合わせ先
Ⓐ伊勢丹新宿店 TEL. 03-3352-1111(大代表) 
Ⓑ日本橋三越本店 TEL. 03-3241-3311(大代表)

本記事は2020年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

SMITH WOOLLENS “ABACUS” スミス・ウールンズ “アバカス”

HARDY MINNIS “2PLY FRESCO” ハーディー・ミニス“2プライ フレスコ”