November 2021

DESIRE FOR LUXURY, MAYBACH

マイバッハの世界Vol.03
究極のラグジュアリーを追求して100年。そして未来へ

text shintaro watanabe

メルセデス・マイバッハ SクラスにはS 580 4MATIC(ISG搭載モデル*1)とS 680 4MATICの2種類が用意され、V8とV12のエンジンをそれぞれ搭載する。ホイールベースはメルセデス・ベンツ Sクラスより180mm長く、マイバッハ専用のボディを身にまとう。※写真は欧州仕様

 この「伝統と革新」はメルセデス・マイバッハ Sクラスによって見事に具現されている。メルセデス・マイバッハ SクラスにはV型12気筒ツインターボを搭載するメルセデス・マイバッハ S 680 4MATICとV型8気筒ツインターボのメルセデス・マイバッハ S580 4MATIC(ISG搭載モデル*1)が用意されている。V12エンジンは1920年代にマイバッハがドイツ国内ではどこよりも早く自動車に採用した実績がある。内装の豪華さだけでなく、結果的にはエンジンでも高級車を表現する一例となった。

 V8ツインターボはISG*1 仕様で、モーターが駆動力をアシストしたり、48V電気システムがエンジンの補機類を動かすなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けたいわゆる電動化ユニットである。このエンジンラインナップこそ、マイバッハの伝統とメルセデスの革新が融合した好例である。

マイバッハ・モトーレンバウの前で、マイバッハW3と共に写真に収まるヴィルヘルムの息子カール・マイバッハ(右から二人目)。当時はまだ「高級車」という概念すら明確な時代ではなかったが、本革やウッドパネルなどを乗用車に用いることで、その原型を構築。いまに受け継がれている。

 いずれのエンジンもメルセデスのクオリティで作られているので、性能や信頼性はすでに保証されている。絶対に不具合があってはならない自動車の心臓であるエンジンは、メルセデスのそれを踏襲するいっぽうで、例えばホイールベースをメルセデス・ベンツ Sクラスのロングモデルより180mmも延長することにより、マイバッハ専用としている。

 180mmと聞いて20cmにも満たないわずかな数値と思うかもしれない。しかしボディ容積まで考えれば全長5m強のボディに占める20cmの割合は大きい。ルーフとドアとフロアで囲まれたかなり大きな空間を増設することになり、ボディ剛性の解析やサスペンションのセッティングなど、いちから設計をし直さなければならない項目は多岐に渡る。

 そうまでしてもあえてホイールベースを延長したのは、マイバッハを名乗るのにふさわしい後席の快適性を実現するために必須であったからだ。こうした手間を惜しまず妥協を許さない姿勢は、ラグジュアリーブランドの最高峰としてのプライドが背景にあるに違いない。

※写真は欧州仕様

 インテリアは、最新の機能や先進技術の数々を積極的に採り入れながら、使用する素材やデザインなどにマイバッハのオリジナリティを盛り込んでいる。世の中の高級や上質とはなんたるかを知り尽くした人々が、感覚的かつ直感的にメルセデス・マイバッハ Sクラスに惹かれたとしても、その判断が間違っていなかったと納得できるような空間演出と快適性がそこにはある。

 ショーファードリブンとしても使われるサルーンのリアシートには、乗員が身体を委ねても優しく包み込んで支えてくれる内部構造と品質の高いシート表皮が欠かせないが、高級感を感受するのはそれだけではない。目に映るフロントシートバックのウッドパネルやドアトリムの本革といった確かな素材が放つ香りや見栄えなどもブレンドされて、心を豊かな気持ちにさせてくれるのである。

 メルセデス・マイバッハ Sクラスがもたらす抜群の安定感と極上の乗り心地や、静々と、でも力強く走る様は、他のどれとも似ていない唯一無二の世界観である。そして実は運転しても楽しいという意外性まで持ち合わせている。こういうプレミアムでマルチなキャラクターは一朝一夕にできるものではない。100年という長きに渡って歴史が紡がれてきたマイバッハだからこそが成せる技なのである。

左:ヴィルヘルムとゴットリープはバーチカル(直立式)ガソリンエンジンを設計し1885年に特許を取得/右:同じ年には4サイクルエンジンを搭載した世界初のモーターサイクルの特許も得ている。

本記事は2021年11月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 43

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<本連載の過去記事は以下より>

マイバッハの世界Vol.01 次元の違う、ステイタスを

マイバッハの世界Vol.02 世紀を超えたラグジュアリーの最高峰