February 2022

世界で最も支持されている名門マーチャント

SCABALの名作バンチで服を仕立てる

ベルギーのブリュッセルに本社を置くスキャバルは、世界で最も名を知られた生地マーチャントのひとつだ。
今季オススメしたい、ふたつの生地にクローズアップ。
photography jun udagawa
styling akihiro shikata

SCABAL(スキャバル)とは?1938年、ベルギーのブリュッセルで創業した世界屈指のウールン・マーチャント。英国サヴィル・ロウの名門テーラーをはじめ、パリやミラノ、東京の一流テーラーからも非常に高い評価を得ている名門中の名門である。「最高の原材料のみを用い、原材料のコスト削減は一切しない」という昔からのこだわりを貫いており、テーラーからの確固たる信頼を築いている。ちなみに、1950年に世界で初めてバンチシステムを考案し、流通に革命をもたらしたのもスキャバルである。

Hideaki Satoサルトリア ミラネーゼの第一人者である佐藤英明氏の服には、あらゆる点でバランスの取れた「ザ・ロイヤル」のような生地が大変よく似合う。柄が強く出すぎず、色合いといい実に洗練された服だ。スーツは国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥302,500~(オーダー価格)Hideaki Sato/ⒶⒷ シャツ¥176,000 Antica Camiceria Lombardi/Ⓐ タイ¥18,700 Francesco MarinoGuji Tokyo(グジ東京店 Tel.03-6721-0027)チーフ property of stylist

SCABALの名作生地1
THE ROYAL(ザ・ロイヤル)

完成度の高いスーパー100’sスーパー100’sの原毛を使用した、280g/mのミディアムウェイトの生地。経糸は74番双糸、緯糸には56番単糸を使用し、柔らかな手触りで弾力性のある、使い勝手のいい生地に仕上がっている。グローバル視点による魅力溢れるオーセンティックな生地が揃っている、スキャバルを代表する定番生地。

 ベルギーのブリュッセルに本社を構える名門スキャバルは、常時出荷可能なシーズンの生地コレクションだけでも4000種以上を誇っている。ヨーロッパ、アメリカ、中東、アジアと、世界中から愛され、それぞれに巨大なマーケットを形成している同ブランドの生地は非常にグローバルな趣向だ。その中でも広く愛されているバンチコレクションが、イタリアで織り上げられたスーパー100’sのミディアムウェイト生地(280g/m)「ザ・ロイヤル」である。

 いい意味でクセがなくそれでいて洗練された、スキャバルらしいグローバルテイストのデザインが揃っている「ザ・ロイヤル」は、非常にブラッシュアップされた編集・セレクトがされていて、スキャバルのコレクションにおいても特に人気が高い。最高品質の原毛を使用していることから生まれる自然な弾力と膨らみ感があり、じんわりと伝わってくる柔らかな手触りのよさが特徴だ。

 その「ザ・ロイヤル」の中身が今季より刷新され、魅力をさらに増した。シャークスキンやバーズアイ、ヘリンボーンといったベーシックな生地のオーセンティックな色味が充実しているほか、ストライプやチェック、マイクロジャカードなども、決して主張しすぎない、上品さと控えめさを備えたものが揃っている。

 生地のスーパー表 は150’sや180’sのように数値が上のものほど原毛が細く高級なものとされているが、「ザ・ロイヤル」がそれら高番手の生地ではないのにスーパー100’sを謳って打ち出しているのは、生地の圧倒的なバランスのよさと、原毛そのものの品質の良さからくる織り上がったときの完成度の高さが大変素晴らしいスキャバルクオリティであるからだ。個性はあえて抑えているからこそ、バランスのよさは傑出していて、使い勝手が非常にいいのである。飽きることもなく、長く着るにはうってつけだ。

左:Sartoria Ypsilon船橋幸彦氏が手がけるサルトリア イプシロンの「ミラノモデル」は、構築的でありながらとても柔らかな仕立てと着心地のよさが見事に融合。ストライプのコントラストが控えめゆえ、仕立ての美しさがより引き立っている。国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥269,500~(オーダー価格) Sartoria Ypsilon/ⒶⒷ シャツ¥97,900 Antica Camiceria Lombardi/Ⓐ タイ¥30,800 Atto VannucciGuji Tokyo(グジ東京店 Tel.03-6721-0027) チーフ property of stylist

右:Tailor Caidナチュラルショルダー、7mmステッチ、ボタン間隔の広い3B段返り、センターベントと、アメリカントラッドのスタイルを今日らしくモダンなフィッティングにまとめあげたのが、こちらの「N1モデル」。国内縫 のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。3ピーススーツ¥312,000~(オーダー価格)Tailor Caid/ⒶⒷ シャツ¥33,000~(オーダー価格)Choya Bespoke/Ⓐ タイ¥14,300 Lid Tailor/ⒶⒷ チーフ property of stylist

SCABALの名作生地2
SIR STRIPE(サー・ストライプ)

ストライプのみをラインナップ2020年に登場した、ストライプ生地のみを集めたコレクション。スーパーファインメリノウールを使用し、スーパー110’s、120’s、130’sのソフトフランネル、ウーステッドなど、さまざまなテイストの生地を揃えている。ウェイトは280g/mと360g/mで、英国生地とイタリア生地がミックスされている。

 スキャバルの「サー・ストライプ」はスーパーファインメリノウールのストライプ生地だけを集めた非常にユニークかつ魅力溢れるバンチだ。クラシカルなピンストライプ、ペンシルストライプ、チョークストライプをはじめ、オルタネイトストライプやヴィンテージ調の複雑なストライプなど、ウーステッドからサキソニー、フランネルまで、ストライプの幅も織りもタッチも、実にさまざま。紳士のハートをくすぐりまくりな内容となっている。

 その中で今シーズンTHE RAKEがオススメしたいのが、カラードストライプの生地である。ベースカラーこそクラシックなネイビーやグレイやブラウンだが、ピンクやパープルや赤のストライプをのせたものがラインナップされ、そのいい塩梅にモダンな感じが、スーツスタイルに華をもたらしてくれるのだ。写真のチョークストライプもそのひとつである。

 2~3cm幅のクラシックなストライプでミディアムウェイト(280g/mと360g/mの2タイプ)&ヴィンテージ感の強くないソフトタッチのタイプという、我々が今求めている条件をすべて満たしているこれらを、あえてノータイでリラックス感を出して着るのが、今とても新鮮であると提案したい。

左:Sartoria Ciroナポリのアントニオ・パニコのもとで修業した空井浩久氏が手がけるサルトリア チーロの一着は、スポーティというよりエレガントな仕様のマニカ・カミーチャが個性を放っている。抑制の効いたカットもツウな感じでいい。スーツは国内縫製のメイド トゥ メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥366,300~(オーダー価格)Sartoria Ciro、ニットタイ¥19,800 Atto Vannucci/both by Ⓐ シャツ¥26,400 Guy RoverBeams Roppongi Hills(ビームス 六本木ヒルズ Tel.03-5775-1623) チーフ property of stylist

右:La Scalaベースのこげ茶にブルーのチョークストライプが雰囲気たっぷりな「サー・ストライプ」の生地は、柔らかなタッチのフランネル。師と仰ぐナポリのサルトからの影響を強く受けながらも、それをクリーンに東京ナイズして進化させている山口信人氏のスーツは、ノータイでも非常に相性がいい。スーツは国内縫製のメイド トゥメジャーで、納期は約5週間。¥511,500~(オーダー価格)La Scala/Ⓑ ニットポロ¥77,000 SvevoAfterhours

Ⓐ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
Ⓑ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)

本記事は2021年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 43

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