April 2022

Exclusive Interview  MATT DAMON

俳優:マット・デイモン
愛され俳優の素顔

私たちは“映画”を待ちわびていた。
それはつまり、彼を待ちわびていたということだ。
世界屈指の知名度と好感度を持つマット・デイモンが、ついにTHE RAKEに登場する!
text & creative direction tom chamberlin
photography grey williams
fashion direction grace gilfeather
special thanks to the Martinez hotel, Cannes, and Riva Yachts

Matt Damon / マット・デイモン1970年、アメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。1988年にハーバード大学に入学(のちに中退)。幼馴染のベン・アフレックとともに脚本を手がけた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)で主演を務め、高い評価を得る。その後も数々の名作や大ヒットシリーズに出演。さらにプロデューサーや脚本家としても活躍する。
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 本人曰く、マット・デイモンは喜びを原動力にしている。それは周囲にも少なからず伝播するものだ。本職以外の場においても、陽気でポジティブな雰囲気を生み出す俳優は数えるほどしかいない。デイモン以外の例としてはトム・ハンクスが挙げられるが、デイモンはSNSもしていなければ夫婦ともにセレブというわけでもなく、メディアから追い回されてもいない。そのため、ごく普通の生活を送る彼の“ステイタス”は、一般的なセレブカルチャーの枠組みにはめ込むことはできない。にもかかわらず、彼は世界屈指の知名度と好感度を保ってきた。

 私たちは、今年のカンヌ国際映画祭で『スティルウォーター』(2022年1月14日日本公開)のプロモーションを行う元気な彼と会った。作品の公開が遅れたり、映画館が閉鎖されたりと、映画業界は一時停止状態に追い込まれたが、再び始動しつつある今、カンヌの華やかな光景は十分な根拠に裏打ちされた優雅な楽観主義に感じられた。楽観主義の存在するところには、やはりデイモンが存在する。

ひたむきに進んだ役者への道 デイモンはマサチューセッツ州ケンブリッジに生まれた。母は幼児教育の教授、父は株式仲買人だった。両親は彼が2歳のときに離婚したが、幼い彼にトラウマを与えないよう力を尽くし、愛情たっぷりに育てた。機能不全家庭での暮らしは子供の学校生活を妨げるケースもあるが、彼の両親の努力は結実する。デイモンは学業面で力をつけるとともに、本人曰く「多くの社会的資本」を手に入れた。

「うちは裕福ではなかったけど、素晴らしい先生や最高の兄さんといった、もっと大切な存在に恵まれたんだ。信頼できる相談相手があちこちにいる感じだった」

 この土台のおかげで彼は1988年にハーバード大学に進学するが、自分のやりたいことはその何年も前に見つけていた。

「13歳のときには既に俳優になりたいと思っていた。そのあとベンと僕は、ジェリー・スペカという願ってもないほど偉大な演劇の先生に恵まれたんだ」

“ベン”とはもちろん、彼の生涯の親友で、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)でともに脚本を手がけ出演することになる、俳優のベン・アフレックだ。ふたりはその後も演技の道へ進み、今日に至るまでスクリーンで親しまれているハリウッドきっての盟友コンビである。

「僕らは共同の銀行口座を持ち、地元のコマーシャルに出ては稼いだお金を貯めていた。そのお金でバスや列車、飛行機に乗ってニューヨークへ行ったんだ」

本記事は2021年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 43

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