BUDD, KING OF SHEARS
シャツ作りの王、バド
May 2020
今回THE RAKEは、重ね着を想定した2枚のシャツを仕立ててほしいという難易度の高いオーダーをリクエストしてみた。
バドがロンドンのピカデリー・アーケードで現在と同じ場所に店を開いたのは、まだオスマン帝国がヨーロッパの領土を統治しており、タイタニック号が沈没しておらず、ステンレス鋼が発明されていなかった1910年のことだ(ちなみに、そんな時代があったとは信じられないかもしれないが、1910年にはクロスワードパズルすら登場していなかった)。
バドの店には典型的な英国式店舗の特徴がそっくり残っている。がたつく階段があり、戸口に配置されたペンキ塗装の柱は、大戦以降ほとんど塗り直されていない。店舗がある階には、あらゆる色やスタイルのシャツが、棚に高く積み上げられている。階段を上るとカッティングルームがあり、職人たちが狭いスペースで作業している。
昔から英国ブランドと紳士らしい装いは同義であり、バドもまた、開店から10年も経たないうちに大西洋の向こうで崇拝の対象となっていた。その証拠に、ジョージ・ガーシュウィンは自身の歌『The Best of Everything(“あらゆる最高級品”の意)』でバドに言及し、「私が選ぶ自動車はロールス・ロイス、帽子を買うならステットソン、クラバットならバド」という歌詞をしたためた。
これは、ジェイ・Zが『Mr. ナイス・ウォッチ』でオーデマ ピゲに言及し、「俺のオーデマに血を付けるな」と歌ったのと同じようなものだ。
日本でバドのシャツが買える日本では入手困難なバドのシャツは、The Rake.comの通販で購入することができる。日本への発送も可能だ。
左:ブルーのロイヤルオックスフォードのシャツ$125
右:柔らかなブラッシュド・コットン製、ブルーのマイクロチェック・シャツ$160
both by Budd Shirtmakers at The Rake
本記事は2020年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 33