August 2019

BAGS OF CLASS

品格漂うグローブ・トロッター

text nick scott
photography steve lanceeld

意匠を凝らしたコラボレーション グローブ・トロッターは1930~40年代に世界で最も有名なトラベルケースとして名を馳せ、当時の著名人は皆こぞって使ったため、一気に定番として定着した。昨今は、さらに考え抜かれたコラボレーションコレクションが発表され、世界中のスタイルアイコンたちを魅了している。

「最近ではECサイトのミスターポーターと共同で、ソフトレザーのトリミング、ポリッシュシルバーのスタッズ、キルトのライニングを特徴とするトラベルケースを製作しました」とセドン氏が紹介するのは、映画『007 スペクター』でジェームズ・ボンドが使用したスーツケースにインスパイアされた、21インチの見事なトラベルケースだ。

「今回、ジャガーとコラボレートしてEタイプにぴったりのケースを開発しました。ボディと同じ塗料をスプレーし、トランクスペースにぴったり収まるようにデザインしました」

 その他、エルメスやアスプレイ、ミュージシャンのウィル・アイ・アムが手がけるエコサイクルのコレクション、さらにロンドンにある英国の正統派ホテルのザ・ゴーリングとも創意に富んだコラボレーションを展開している。中でもセドン氏の自慢は、メゾン マルジェラとのコラボレーションコレクション。同メゾンが得意とするトロンプ・ルイユ(だまし絵)をスクリーンプリントしたトラベルケースで、使い込んだようなヴィンテージ感が気に入っているそうだ。

 このような一生もののハンドメイドアイテムの持ち主には、ファッションにもお金をかける人が多い。上辺だけのファッション好きや、昔ながらのエレガンスをなおざりにする者は、例外なくスーツケースを軽視している。富裕層はスーツケースを実用品とみなす傾向があるが、だからこそ、洗練されたスタイルを求める人にはブレザーやポケットチーフと同じように、スーツケースにも「さすが」とうならせる要素が必要なのだ。真の洒落者は、チェックインカウンターで潔くラゲージを預け、真っ黒な空間に消えていく様を見守るものだ。美意識に欠けるその他大勢のスーツケース、使い捨てタイプで魅力のない原色のプラスティックラゲージに囲まれて、ひときわエレガントに見えることだろう。

 あなたがそんなタイプなら、ダニエル・クレイグ、ニック・ウースター、デイヴィッド・ベッカム、ウィンストン・チャーチルの後に続こう。彼らが取り巻きに自分のトラベルケースを持たせることは絶対にないが、つまりそこにはちゃんとした理由があるのだ。

最もラグジュアリーなコレクショングローブ・トロッターの数あるバリエーションの中で、最上級のコレクションが、この「ロワイヤル」だ。
まばゆいばかりに煌めく、ラグジュアリーな光沢感を持つ表面加工により、見る者をひと目で惹きつける圧倒的な存在感を放つ。ライニングには同系色のスエード調素材が使用されており、高級感をいっそう高めている。
現代人のリュクスな旅を優美に演出する贅沢なトラベルケースだ。

カラーはアイボリーレザーと組み合わせた「シャンパーニュ」と、ブラウンレザーと組み合わせた「キャビアグレイの2色展開」。写真上から、9インチ ミニユーティリティケース W24×H21×D12cm ¥120,000、16インチ スリムアタッシェ W40×H30×D11cm ¥200,000、18インチ トロリーケース W45×H35×D18cm 各¥265,000、21インチ トロリーケース W54×H39×D18cm 各¥300,000、30インチ エクストラディープスーツケース W75×H44×D24cm 各¥365,000 すべてGlobe-Trotter

本記事は2016年1月23日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 08

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