Friday, March 24th, 2017

DIRECTOR’S CUT
スーツが与えてくれた人生の転機

ハリウッドでは異色ともいえるスーツスタイルを貫くポール・フェイグ。
俳優に監督に脚本家……マルチな才能溢れるこの男に、独占インタビューを敢行した。
text tom chamberlin photography robert spangle

 本誌にとってポール・フェイグは同志のような存在だ。そしてなによりも非の打ち所のない男といえよう。インタビュー当日、ポールが現れたのは、待ち合わせの30分前だった。時間を守るだけでなく、堂々とした装いもすばらしい。著名な俳優であり、脚本家であり、映画監督でもあるポールは、アンダーソン&シェパードで仕立てたグレイのピンストライプの見事なダブルスーツでやってきた。左の写真でご覧いただけるように、シャルベのブートニエールとネクタイはパープル、そして白地の双糸コットンシャツにあしらったツインストライプもやはりパープルで揃えたパーフェクトなコーディネイトである。何よりも、これが彼の仕事着だというのが最高だ。ハイビジョン機器やクレーン、拡声器、さまざまな装置に囲まれた撮影現場に、ポールはいつもスーツ姿で現れるが、決してお高くとまっているわけではない。
彼のキャリアを知れば知るほど、その実績に圧倒されるだろう。ポールが手がけたテレビドラマ『フリークス学園』(1999年)は1シーズンしか放映されなかったが、いまだにカルト的な人気を誇っており、『エンターテインメント・ウィークリー』誌が選ぶ過去25年のベストドラマで13位にランクインした。他にも『ジ・オフィス』(米国版)や『ブル~ス一家は大暴走!』、『30 ROCK/サーティー・ロック』、『パークス・アンド・レクリエーション』といった大ヒットドラマはもとより、独特のファッションが印象的な『マッドメン』の一部エピソードでも監督を務めた。
彼の活躍はテレビ界にとどまらない。最近は映画界でも大ヒット作を連発し、カルチャーシーンにも多大な影響を与えている。特にこの10年間はノリに乗っており、「ヒロインは面白みに欠ける」という迷信を打ち砕いてきた。『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011年)や『SPY/スパイ』(2015年)、『ゴーストバスターズ』(2016年)といった人気のコメディ映画は、時代の精神を反映しているだけでなく、女性コメディアンのステイタスも高め、メリッサ・マッカーシーのような出演者を一躍有名人にした。ハリウッドではポール・フェイグの名を出すと、誰もが笑顔になるが、今回のインタビューでその理由がよくわかった。

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Paul Feig ポール・フェイグ
1962年9月17日アメリカ合衆国ミシガン州生まれ。『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011年)や『SPY/スパイ』(2015年)、『ゴーストバスターズ』(2016年)をはじめとする数々のヒット作を輩出。女性が主役のコメディを作らせたら右に出る者はいない。どんな撮影でもスーツ姿で登場する粋な監督だ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 15
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